長友佑都がW杯前の重苦しい空気を一変させる存在感、メディア対応でチームを牽引
長友佑都がW杯前の重苦しい空気を一変させる存在感

ワールドカップ(W杯)が始まると、世界中のメディアの関心はサッカーに集まる。開幕を目前に控え、取材する側もされる側も緊張感が高まる中、日本代表の長友佑都選手(FC東京)の存在がその空気を一変させた。本稿では、W杯のニュースがどのように取材されているのか、その舞台裏を紹介する。

100人超の報道陣が集結

日本代表は10日、大会中の活動拠点となる米テネシー州ナッシュビルにあるナッシュビルSCトレーニングセンターで、大会直前の調整を行った。ここをベースに、1次リーグではテキサス州ダラスで2試合、メキシコのモンテレイで1試合を戦う。この日は日本代表が本格的な調整に入ることもあり、多くの報道陣が駆け付けた。日本サッカー協会(JFA)の広報担当者によると、その数は「100人強」に上る。大人数の記者がスムーズに仕事をできるよう、施設内には「メディアセンター」が設置されている。

厳重な警備とメディアセンター

警備態勢は万全だ。記者は現地に到着すると、まず警備犬のチェックを受ける。担当するのはシェパードのソグくん。入念に手やズボンのにおいをかぎ、危険物を持ち込んでいないかを確認する。その後、空港の保安検査のような装置に荷物を通して、メディアセンターに入る。メディアセンターには記事執筆などに利用できる作業スペースが設けられている。この日のナッシュビルの気温は33度を超え、日差しも強かったが、大型テントのメディアセンターには特大サイズのエアコンが複数台設置され、快適な環境が整えられていた。

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練習取材のルール

練習では戦術の確認などがあるため、写真や動画の撮影は冒頭の15分間に限られる。報道陣はJFA職員に声をかけられるとピッチを後にし、メディアセンターに戻る。本格的な取材はその後に行われる。

ミックスゾーンでの取材

実際に報道陣が選手を取材できるのは、「ミックスゾーン」と呼ばれる場所だ。これは選手が帰路につく導線に設けられ、練習施設から引き上げる選手に報道陣が声をかけ、立ち止まった選手に取材ができる仕組みになっている。この手法はサッカーに限らず、多くのイベントや大会で用いられている。しかし、サッカー取材の現場では、その雰囲気がかなりピリピリしているという。サッカー専門誌のジャーナリストや一般紙の記者らが同じ場所で取材をするため、質問の内容やジャンルは当然異なり、相手が取材に応じるかどうか分からない緊張感が漂う。取材に応じたくない選手は「今度話すので」「明日答えますから」と言い残して立ち去ることもある。

長友佑都の存在感

選手の生の声が聞けず重苦しい空気が流れる中、そんなムードを一変させてくれるのが長友選手だ。ベテランとして常にメディアとコミュニケーションを取ってきた。この日も他の選手は足早に去ることが多かったが、長友選手が姿を見せると、報道陣は「待ってました」とばかりに取材を試みる。練習中も誰よりも声を出してチームの雰囲気を盛り上げる長友選手は、メディアへのサービス精神も旺盛だ。この日はヘアバンドをつけて練習に参加したことを問われ、「日焼け止めを塗ると汗をかいたときにしみる。バンドをつけるとしみることもなかったから、かなり良いなと。本当はハチマキをつけたかったけど……」などと語り、場の空気をなごませた。チームの状況を問われると、「もう1、2段階ほど引き締めていかないと。カタールW杯のときにあれだけ悔しい思いをした。目の色を変えて戦わないとワールドカップは勝てない」と力強いメッセージを発した。

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メディアとサポーターを意識する男

取材に応じてもらえなければニュースにはならない。長友選手は練習でも常に先頭に立ち、誰よりも声を出して盛り上げる。JFAの広報担当者が「助かる人」と語るのも納得だ。メディアの向こうにいる大勢のサポーターを意識しつつ、練習や取材に向き合う姿には、日本を背負う男の気概が感じられる。