Bリーグ1部(B1)サンロッカーズ渋谷(SR渋谷)のジャン・ローレンス・ハーパージュニア(23)が、りそな2025-26シーズンの新人賞に輝いた。クラブ史上、リーグ初年度のベンドラメ礼生(32)に次ぐ2人目の受賞者となる。B1は来季から新トップリーグ「Bリーグ・プレミア(Bプレミア)」へ移行。10季にわたるB1の歴史において、初代と最後の新人賞にSR渋谷のポイントガード2人の名が刻まれることとなった。
「初代がベンドラメ礼生さんで最後が自分」
5月29日に東京都内で行われた表彰式で、ハーパーは主催者が用意したイタリア高級ブランド「ドルチェ&ガッバーナ」のジャケットに蝶ネクタイ、私物の伊達メガネを身に着けた。「2着あって、一方は上下ピンク。こちらの方がいいかなと思った。『コメディアンみたい』と言われました」と苦笑いを浮かべた。
受賞スピーチの第一声は「うれしいっすね」。ハーパーは「言うことを考えようとすると頭が真っ白になる。考えずに行こうと決めて、自然に出た言葉だった」と振り返る。あっさりとした始まりの後、ハーパーが紡いだ言葉には自信と情熱、感謝、喜びがあふれていた。
「初代がベンドラメ礼生さんで、最後が自分。最初と最後が渋谷で、何か縁を感じる。ここまで来られたのは、チャンスを与えてくれたサンロッカーズ渋谷の関係者や家族の支えがあったから。感謝しています。今シーズンは良い結果が出せなかった。来シーズンはレベルアップして、何かアワード(賞)を取れるように、ここに戻ってこられるように頑張りたい。Thank You!」
フルシーズンをプレー「PGとして自信持てた」
新人賞はB1クラブ所属の24歳以下などの条件を満たした選手を対象に、B1の監督と選手、メディアの投票で選出される。年間を通した安定した活躍や日本代表でのプレー、コート外での振る舞いなどが評価基準だ。歴代受賞者には、ベンドラメをはじめ、河村勇輝(25=米NBAシカゴ・ブルズ)や馬場雄大(30=長崎ヴェルカ)など、日本バスケを支える選手が名を連ねる。B1最後の受賞者にふさわしいプレーを見せた。
沖縄県出身のハーパーは2020年から3シーズン、SR渋谷を含む3クラブで特別指定選手として計10試合に出場。SR渋谷とプロ契約を結んだ前シーズンは33試合プレーした。初めてフルシーズンを戦った今シーズンも新人賞の対象だった。
「すごく成長したシーズンだと思うし、(司令塔の)ポイントガード(PG)として自信を持つことができた」。その言葉は成績が証明している。前シーズンの平均出場時間は9分25秒。抜群の身体能力に気持ちを乗せ、ファンから「鬼ディフェンス」と称賛される守備でチームに活力を注入した。今シーズンは守備に加え、司令塔としても成長を遂げた。
「こういう時は毎回打つんだ。迷わず打つんだ」助言
平均アシストは前シーズンの0.9から4.0、平均得点は5.5点増の6.7得点と大幅に増加。出場時間は22分3秒となり、シーズン後半からは先発メンバーに定着。出場57試合中38試合で先発した。
成長できたのは、弱点に向き合い克服したからだ。前シーズンは守備で貢献したものの、司令塔としては攻撃でのプレー選択に迷いがあった。ジョシュ・ホーキンソン(31)ら長身選手との連係プレーを仕掛けても、相手に迷いを見透かされ、攻撃が停滞する場面も見られた。
当時、同僚だったPGアンソニー・クレモンズ(31=今シーズンはB1越谷アルファーズ)から「JJ(ハーパーの愛称)、こういう時は毎回打つんだ。迷わず打つんだ」と助言を受けた。
「お兄ちゃんのような存在」と慕うクレモンズの言葉を胸に刻み、「警戒されないなら積極的に打つんだ」と奮い立った。代表では、同僚のホーキンソンや狩野富成(24)らとの連係プレーから、迷わず3点シュートを放ち成功。リーグでも平均試投数は4.2本で前シーズンより2.8本増やしながら、成功率は16.9ポイント増の32.1%と精度を高めた。
「満足していない。もっとできると思っている」
2月に初めて敵として対峙したクレモンズの前でも、連係プレーからの3点シュートを成功させ、チームを勝利に導いた。クレモンズは「JJが成長したいという気持ちを持ち、努力を続けているから、ああいうシュートが決まるんだ」と、敗戦の悔しさを一瞬忘れたかのような笑顔を見せていた。
今シーズンは1試合17得点や11アシストなど、多くの項目で自己最多を更新。それでもハーパーは「満足していない。もっとできると思っている。代表でも経験を積み、PGとして成長したい」と貪欲だ。
日の丸を背負い、新人賞にも輝いた。来シーズンから「東京サンロッカーズ」として新たな歴史を刻むチームを、名実ともにけん引しなければならない立場になった。新監督には、B1名古屋ダイヤモンドドルフィンズを4度のプレーオフ、チャンピオンシップ(CS)進出に導いたショーン・デニス氏(60)が就任した。若き司令塔は「デニスさんは速いバスケットと強度の高いディフェンスを掲げている。それをやりたいし、自分は走るバスケが得意。フレッシュな気持ちを忘れずに、ベテランを引っ張りたい」と語る。努力の末に得た自信と、新人賞に導いてくれた人々への感謝。東京SRの顔としての覚悟を持って、Bプレミア元年に臨む。
新人王の先輩、ベンドラメ礼生と河村勇輝が祝福
ハーパーの新人賞受賞を、チームメートやゆかりの選手が祝福した。
ベンドラメ礼生(SR渋谷生え抜きの主将で初代新人王。ハーパーと同じ東海大学出身)
「JJ、ルーキー・オブ・ザ・イヤー受賞おめでとう。試合を重ねるごとに頼もしくなっていく姿を近くで見ていて、本当にうれしかったし、同時に刺激ももらっていました。リーグの歴史が一区切りを迎えるこの節目のタイミングで、その賞を受賞したことにも大きな意味があると思います。初代受賞者が自分だったからこそ、こうして同じ舞台で競い合い、次の世代へつながっていくことに、とても幸せを感じています。これからの活躍も楽しみにしています。改めて本当におめでとう!」
河村勇輝(米NBAシカゴ・ブルズ。福岡第一高、東海大の先輩。2022-23シーズン新人王・MVP)
「ジュニア、新人賞おめでとう。高校、大学と同じチームで苦楽を共にしてきた仲間であり、弟のような存在であるだけに、本当にうれしいです。高校で初めて会ってからずっと、練習後に1対1をしてほしいと何度も頼まれたことも、本当に懐かしい思い出です。絶対に負けたくないと、何度も何度も挑戦してきた、その気迫のあるディフェンスは必ず将来通用すると、その時確信しました。これまで積み重ねてきた努力が、今回、新人賞という形で報われたこと、本当にうれしく思います。この受賞をきっかけに、さらに大きく羽ばたいていってほしいと願っています!どこまでも行っても、謙虚で感謝を忘れずに!本当におめでとう!」



