中日ドラゴンズは6月5日、バンテリンドームで行われた西武ライオンズとの交流戦で、今季2度目となるサヨナラ勝ちを収め、連敗を5でストップさせた。0-0の九回裏、2死一、二塁の場面で代打として登場した阿部が、右前打を放ち、二塁走者の福永が生還。劇的な決着となった。
阿部の一打が生んだ勝利
阿部は「振らなければ何も始まらない」という単純かつ明快な考え方で打席に立っている。この日も0-0の九回2死一、二塁の場面で、相手先発の高橋光が投じた154キロの直球を逆らわずに流し打ち、右前に転がした。打球が外野を抜け、二走福永の生還を見届けると、チームメートからのウオーターシャワーを浴びながら「よかった。ほっとした」と安堵の表情を浮かべた。
相手先発の高橋光は、試合前時点でパ・リーグ3位の防御率を誇る好投手。中日打線は三回に1死満塁の好機を生かせず、七回にも先頭打者を出しながら犠打失敗や盗塁死でチャンスを潰していた。八回まで両者無得点で、延長戦も予想される緊迫した展開となった。
阿部は昨季まで3季在籍した楽天時代の対戦経験を生かし、「球が速いし変化球も良い。速い球に合わせて、なんとか追い込まれる前に打とうと思っていた」と振り返る。1ストライクからの2球目、真ん中付近に来た直球を捉え、相手右腕の121球目で激戦に終止符を打った。
パ・リーグ経験を生かしたベテランの味
阿部は楽天時代に感じたパ・リーグ投手の傾向として、「パワー型が多い。当てにいったらファウルになるし、初球を振らないとすぐ終わってしまう」と語る。その肌感覚を信じ、交流戦で生かすあたりがベテランの味だろう。初球の外角いっぱいの直球には手を出さなかったものの、追い込まれる前の甘い球を逃さなかった。
古巣復帰1年目の今季は、勝負どころでの代打起用が多く、得点圏打率は4割を超える。井上監督も「ここぞで使いたい存在」と信頼を寄せている。
投手陣の奮闘
先発の柳は7回を投げ、5安打無失点と粘りの投球。捕手の石伊との連係も光り、井上監督は「特別、何が素晴らしいボールなのかが見えない彼らしい投球だった」と評した。3番手の松山は九回に登板し、1死から四球を与え、2死二塁のピンチを招いたが、155キロの直球で源田を投ゴロに打ち取り、その後のサヨナラ勝ちで今季初勝利を挙げた。松山はこの日で11試合連続無失点。左脇腹の肉離れから復帰2戦目の4月10日以来、得点を与えていない。
井上監督のコメント
井上監督は試合後、「うちの先発である柳がよく粘ってくれた。西武の高橋光が素晴らしい投手というのは分かっていた。先に点を取られたり、ロースコアになったりすることは覚悟していた」と振り返った。また、復帰した岡林については「彼を出すならほぼ1番という形になる。今まで引っ張ることができなかった分、これからしっかりやってほしい」と期待を寄せた。2番手で登板した2年目の吉田については、「投げたい意欲が他の投手よりもある。普通だったらびびってしまうところでも、吉田に関してはその意識が前面に出ている」と評価した。



