猪谷千春さん、70年ぶりの選手宿舎訪問で銀メダル時代を回想
1956年コルティナダンペッツォ冬季オリンピックのアルペンスキー男子回転で銀メダルを獲得し、国際オリンピック委員会(IOC)名誉委員を務める猪谷千春さん(94)が、2月17日にイタリア・コルティナダンペッツォを訪れ、当時日本選手団が宿泊していたホテルを70年ぶりに訪問しました。この地で開催された冬季五輪の思い出を鮮明に振り返る貴重な機会となりました。
冬季五輪日本勢初のメダリストが歴史の舞台へ
猪谷さんは冬季オリンピックにおける日本選手初のメダリストであり、アルペンスキー種目では現在でも日本人唯一のメダリストとして知られています。今回の訪問は、IOCの会議に参加するためにイタリアを訪れた際に実現し、2026年ミラノ・コルティナ冬季五輪の開催地でもあるコルティナダンペッツォに足を運びました。
当時のホテルでは、経営者の娘であり、同じ1956年冬季五輪にフィギュアスケート選手として出場したマヌエラ・アンジェリさん(86)との感動的な再会が叶いました。70年の歳月を経て、二人はかつて日本選手団が使用していた応接間で懐かしい思い出話に花を咲かせました。
アットホームな環境で競技に臨めた思い出
猪谷さんは当時の様子を次のように語りました。「大会期間中はこのホテルからスキー場に通っていました。アンジェリさんのご両親には大変お世話になり、まるで家族のような温かい気持ちで大会に臨むことができました。そのおかげで、リラックスして競技に集中できたのです」。
さらに興味深いエピソードとして、アンジェリさんの父親はボブスレー選手として、1940年に開催が予定されていた札幌冬季五輪を目指していたことが明かされました。戦争の影響で大会が幻となったものの、父親は日本への強い思いを抱き続けており、日本選手団を迎え入れることを心から喜んでいたとアンジェリさんが語りました。猪谷さんはこの話を初めて聞き、驚きと感動を隠せない様子でした。
スポーツの醍醐味を実感する歴史的再会
長い年月を経て、思い出の地で再会を果たした猪谷さんは、感慨深げに次のように述べました。「70年後に二人とも元気で再会できるなんて、本当に稀有なことです。これこそがスポーツの醍醐味であり、オリンピックがもたらすかけがえのない絆なのです」。
この訪問は、単なる過去の回想にとどまらず、オリンピックの精神が時代を超えて受け継がれる様子を如実に示す出来事となりました。猪谷さんの銀メダル獲得から70年、そして2026年ミラノ・コルティナ冬季五輪開催を控えた今、オリンピックの歴史と未来が交差する瞬間が訪れたのです。



