大けがを抱えながら新技に挑み続けた平野歩夢の戦い
手負いの状態でも、頂点を目指す気概を貫き通した。スノーボード男子ハーフパイプの平野歩夢選手は、骨盤の右腸骨などを骨折する大けがを負いながら、競技に臨んだ。それでも、1回目から3発目にかけて、新技となる「ダブルコーク1620」に果敢に挑戦し続けたのである。
恐怖心と戦いながらの「生きるか死ぬかの戦い」
平野選手は、1月17日の試合で激しい転倒を経験していた。その際に負った大けがは、松葉づえでの生活を余儀なくされるほど深刻なものだった。しかし、わずかでも出場できる可能性を信じて、約1カ月間にわたるリハビリと調整を経て、本番に挑んだ。
「思い切って、生きるか死ぬかの戦いみたいな気持ちを持って滑った」と語る平野選手。恐怖心はあったものの、その気持ちを振り切り、痛み止めを服用しながらアドレナリンに頼る大勝負に臨んだのである。
「ぶっつけ本番」で高難度トリックを成功させる
競技では、新技の「ダブルコーク1620」を2回目と3回目に成功させた。この技は、斜め軸に縦2回転、横4回転半するという高難度のもので、まさに「ぶっつけ本番」での挑戦だった。さらに、最後には代名詞である「トリプルコーク1440」まで繰り出し、気概たっぷりの演技を披露した。
「今の状態での全力は出し切れた」と語る平野選手。2連覇には届かず7位に終わったものの、その表情は終始晴れやかだった。けがをしていることは頭から消し去り、限界を超えようとする姿勢が、多くの観客や関係者の心を打ったのである。
前回王者の健闘を称える声も
最終3回目を失敗で終えた前回王者の平野選手だが、その挑戦的な姿勢は他の選手や観衆からも称えられた。大けがからの復帰劇は、単なる順位以上の価値を持つものだった。
「自分の全力と向き合えたことに感謝。これから先につながっていくいい経験をさせてもらった」と振り返る平野選手。全てをプラスに変え、再び競技の道を歩み始める決意をにじませた。
この戦いは、スノーボード競技における不屈の精神と、アスリートとしての成長の証として、長く記憶されることだろう。