中国発動画生成AI「シーダンス2.0」が物議 悟空や高市首相の映像も生成可能に
動画投稿アプリ「TikTok」の親会社である中国企業「バイトドダンス」が公開した動画生成AIモデル「Seedance(シーダンス)2.0」が、大きな波紋を呼んでいます。この最新モデルは、簡単な指示だけで高品質な動画を生成できる一方で、日本アニメの人気キャラクターである悟空やウルトラマン、さらには高市早苗首相ら実在の人物に酷似した映像も作り出せる能力を持っているためです。
SNS上に広がるフェイク動画への懸念が高まる
ソーシャルメディア上では、シーダンス2.0によって生成されたとみられる動画が次々と拡散されており、フェイク動画に対する懸念の声が急速に高まっています。専門家たちは、この技術が悪用される可能性について警告を発しており、特に政治的な人物の偽造動画が選挙干渉や世論操作に利用される危険性を指摘しています。
シーダンスの公式サイトによれば、このAIモデルの正式版は2月12日に公開されました。試行版は2月上旬から一部のユーザーに対して利用可能となっており、その時点ですでに高い生成能力が確認されていました。バイトダンスは同モデルに関する公式ブログで、従来のバージョンと比較して「生成クオリティーが飛躍的に向上した」と強調し、「産業レベルの制作現場に高度に適したものとなった」と述べています。
技術の進歩と倫理的課題の狭間で
動画生成AI技術の急速な進歩は、クリエイティブ産業に新たな可能性をもたらす一方で、深刻な倫理的課題も浮き彫りにしています。シーダンス2.0の場合、以下のような特徴が注目されています:
- 驚異的な生成速度:短時間で高品質な動画を生成可能
- 多様な応用範囲:アニメキャラクターから実在人物まで幅広く対応
- 操作の簡便さ:専門知識がなくても高度な動画制作が可能
しかし、これらの特徴が逆に、著作権侵害や個人の肖像権侵害、偽情報の拡散といった問題を引き起こす可能性があるのです。実際、2月上旬以降、シーダンスで生成されたと思われる動画がさまざまなプラットフォームで共有され始めており、その中には明らかに実在人物を模したコンテンツも含まれています。
国際的な規制の動きと日本の対応
欧州連合(EU)では、類似のAI技術による性的画像被害を調査する動きが始まっており、日本政府もAI関連法規制の整備を検討しています。このような国際的な潮流の中で、シーダンス2.0のような高度な動画生成AIの普及は、各国の政策当局にとって新たな課題を投げかけています。
専門家は、技術の進歩を阻害することなく、適切なガイドラインや規制を設けることの重要性を指摘しています。特に、以下の点が今後の議論の焦点となるでしょう:
- AI生成コンテンツの明確な表示義務
- 著作権や肖像権保護のための法的枠組み
- プラットフォーム事業者によるコンテンツ審査体制の強化
シーダンス2.0の登場は、AI技術が社会に与える影響について改めて考えるきっかけとなっています。私たちは、技術の恩恵とリスクのバランスをどのように取っていくのか、真剣に議論する時期に来ているのかもしれません。