コロナ禍以降、若者を中心に愛好者が増えている「eスポーツ」を活用して社員同士のつながりを深める動きが、静岡県内の大手メーカーや金融機関で広がっている。世代を超えた社員交流を促進し、業務の円滑化や若手社員の採用拡大につなげたい考えだ。
ヤマハ、eスポーツ部が活況
5月末の夜、楽器大手・ヤマハの本社(浜松市中央区)では、同社公認の「eスポーツ部」の社員たちが、レーシングゲームや格闘ゲームなど約10種類のeスポーツに興じていた。額に汗を浮かべながらコントローラーを握る社員の姿もあり、会場は熱気に包まれていた。
同社では、コロナ禍をきっかけにゲームを楽しむ社員が増え、2020年10月にeスポーツ部が発足。現在は20~50歳代の社員約80人が所属し、週1回程度、終業後の夜にオンラインで活動している。
練習や大会を通じて社員同士の交流が深まるだけでなく、仕事にも好影響が出ている。同部の神谷俊一部長(54)は「ハードウェアやマイク、オーディオ、インターフェイスなどの音響機器を使用する人たちが、どのように使って何に困っているのかを知るきっかけになる」と強調する。
部員は増加傾向にあり、神谷部長は「部署や年代を超えて仕事以外の交流が増え、若い社員からアイデアが上がるようになった」と語る。
採用活動にも効果
県内では近年、春華堂(浜松市)や静岡銀行(静岡市)などが新たにeスポーツ部を社内に創設。他の金融機関では、eスポーツ同好会の存在が志望動機の一つとなり、新卒者が入社したケースもある。この金融機関の人事担当者は「(同好会の社員が)対外的なイベントに出ることで、学生たちが入社後の生活をイメージできる。採用活動にも生きる」と話す。
日本eスポーツ協会によると、2024年の日本eスポーツファン数(試合観戦や配信動画視聴経験者など)は約967万人と推定され、2026年には1500万人に迫るとされる。特に高校生や大学生の間で愛好者が増えており、県eスポーツ連合の畑雅樹代表理事は「活動はパソコンやゲームソフトさえあれば、どこでもオンライン上で取り組めるため運営費用は低額。新卒社員獲得に難航する中小企業にとって、eスポーツを活用した企業PRは効果的だ」と指摘している。



