認知機能の低下が招く消費者被害の実態と対策
2026年3月22日、認知症や軽度認知障害(MCI)が高齢者の約3割に及ぶと推計される中、認知機能の低下に伴う消費者被害が深刻化しています。契約内容を忘れたり、同じ商品を繰り返し購入したりする事例が相次ぎ、本人の資産管理と保護の両立が課題となっています。
早期段階から多発する被害の実態
京都府立医大の成本迅教授(精神医学)によると、詐欺や消費者トラブルの被害は、軽度認知障害(MCI)の段階から多く発生しています。MCIは記憶や判断力に客観的な低下が見られるものの、日常生活はほぼ自立している状態です。この段階では、インターネット関連の詐欺や架空請求など、一般の高齢者と同様の被害が目立ちます。
重症度が進むにつれ、被害のパターンも変化します。訪問勧誘や訪問購入による被害が増加し、約8割のケースで本人が被害を認識していないという調査結果も明らかになりました。記憶障害や判断力の低下により、契約内容や金額を十分に理解できず、忘れてしまう事例が多いのです。
保護と利用の両立を目指す対策
認知症の原因となる病気は様々ですが、特に多いアルツハイマー型では、年単位で徐々に認知機能が低下します。本人や周囲が変化に気づかず、受診が遅れる傾向があります。多くの方が診断を受けずに地域で生活し、自分で買い物をしている現状を踏まえ、消費者被害への警戒が必要です。
軽度認知障害の方でも、通常の経済活動を行っている場合が多く、記憶力の低下から契約を忘れたり、同じ商品を重複購入したりする問題が早期から発生します。このため、金融機関の担当者や民生委員など地域の関係者が、認知機能低下のサインを認識することが重要です。
家族や地域社会の役割
同居していない家族や単身高齢者が増加する中、訪問診療や看護、介護などの訪問系サービス従事者が異変に気づく機会が多くなっています。本人が使用しない電化製品が増えたり、不審な契約書が置かれていたりする事例から被害が発覚するケースが少なくありません。
- 訪問系サービスの利用は抑止力として機能します。
- 職種に関わらず、周囲の目配りが被害防止に繋がります。
- 「年のせい」との違いを見極める知識が求められます。
認知症や軽度認知障害の方が保有する家計資産は計260兆円とも推計され、資産の保護と本人の利便性を両立する道筋が模索されています。消費者被害を防ぐためには、早期発見と適切な支援体制の構築が不可欠です。



