トイレットペーパー「在庫十分」業界団体が冷静対応呼びかけ、イラン情勢の影響を否定
イラン情勢の緊迫化に伴う原油価格の高騰を受け、一部のSNSでは「オイル危機だからトイレットペーパーを買い占めなければ」といった書き込みが散見される状況となっています。しかし、業界団体はこうした動きに明確に異を唱え、「現時点で生産・出荷ともに問題はなく、メーカーや流通業者にも十分な在庫がある」と断言しました。
過去の石油危機との比較と現在の状況
1973年10月に発生した第1次石油危機、いわゆるオイルショックの際には、原油価格が急騰した影響で、店頭ではトイレットペーパーを求める長蛇の列ができ、品薄状態が生じました。しかし、現在の状況は当時とは大きく異なります。日本家庭紙工業会の石墳守男専務理事は、「53年前の石油危機でトイレットペーパーが不足した主な要因は、過剰な買いだめにあった」と指摘します。
同様に、15年前の東日本大震災や新型コロナウイルス感染症の流行時にも、一時的にトイレットペーパーが購入しづらい状況が生まれましたが、いずれも物流が整うにつれて速やかに解消しています。石墳専務理事は、「過剰な買い占めが起こらなければ、市場からトイレットペーパーがなくなることはない」と強調しています。
原材料の構成とイラン情勢の影響
国内で流通しているトイレットペーパーの原材料について、日本家庭紙工業会は詳細を説明しました。それによると、約6割が国内で回収された古紙を再利用しており、残りの約4割は北米や南米、東南アジアなどから輸入されるパルプを使用しています。製造過程において、一部で石油由来の薬品が用いられることはあるものの、イラン情勢の緊迫化が直接的な影響を及ぼすことは現時点ではないとの見解を示しました。
この背景には、原材料の調達先が多様化していることが挙げられます。輸入パルプの主要な供給源は中東地域ではなく、むしろ南北アメリカやアジア諸国に依存しているため、中東情勢の変動が即座に供給に影響を与えるリスクは低いと分析されています。
業界団体からのメッセージと消費者への呼びかけ
家庭用トイレットペーパーなどを製造する41社で構成される日本家庭紙工業会は、消費者に対して冷静な行動を強く呼びかけています。石墳専務理事は、「現在の生産体制は安定しており、出荷にも支障はありません。メーカーや卸売業者、小売店の在庫も十分に確保されています」と述べ、根拠のない不安に駆られて買いだめに走る必要はないと訴えました。
また、同団体はSNS上で広がる噂やデマに対して警戒を促すとともに、正確な情報に基づいた判断を求める姿勢を明確にしています。過去の経験から、不必要な買い占めがかえって市場の混乱を招く可能性があることを指摘し、消費者一人ひとりの理性的な対応が重要だと説いています。
今後の見通しについて、業界関係者は原油価格の動向を注視しつつも、現段階ではトイレットペーパーの供給に重大な懸念は生じていないとの認識を示しました。安定した供給を維持するため、メーカー各社は原材料の調達ルートの多様化や在庫管理の強化に努めていると説明しています。



