連載「授乳に我慢は必要ですか」の第2回では、外出先での授乳環境の実態と改善の動きを深掘りする。幼い子どもを連れてのお出かけ先で、授乳の場所に困った経験を持つ人は少なくない。国が子育て世代を対象に行った調査では、約6割が「授乳室がない」と回答し、約4割が「授乳室がどこにあるのか分からない」と答えている。たとえ授乳室を見つけても、使いやすい空間であるとは限らないのが現状だ。
授乳室不足の実態
国土交通省が2025年1~2月に実施したインターネット調査(子どもがいる全国の男女約1万人対象)では、外出先での授乳や搾乳に関する困りごとを複数回答で尋ねたところ、最も多い回答は「授乳室がない」(60.0%)だった。回答者からは「地方は授乳室の数が本当に少なく、あったとしても衛生管理が心配な場所が多い」との声が寄せられた。次いで「ベビーカーを置くスペースがない」(54.6%)、「授乳室がどこにあるか分からない」(40.8%)と続いた。
個室ブース型の新たな取り組み
こうした課題に対し、個室ブース型のベビーケアルーム「mamaro(ママロ)」を提供する企業が注目を集めている。今年4月から販売された新モデルには、子どものおむつ替え台と体重計にもなるソファが設置された。木目調とホワイトを基調としたシンプルなデザインは、母親だけでなく父親も使いやすいように設計されている。また、広告やアンケート配信が可能なモニターも搭載され、設置場所の収益化にも貢献している。
自治体の支援策
各自治体も授乳室の増設に乗り出している。京都府は4月から、授乳やおむつ替えができる「ベビーケアルーム」の設置に対して100%の補助金を出す制度を開始した。駅や文化施設など子育て世帯の利用が見込まれる施設を対象に、上限400万円まで補助する。府はこの制度を通じて、子育て世帯の外出を支援し、社会全体で子育てを支える環境づくりを目指している。
社会構造の問題として
出産後に職場へ復帰する母親の受け入れに努める企業が増える一方で、授乳や搾乳に関する知識はまだ十分に浸透しているとは言いがたい。授乳にまつわる問題を母親の個人的な事情として片付けるのではなく、社会構造の問題として捉え直す必要がある。授乳室の不足は、子育て世代の外出を妨げ、社会参加の機会を制限している。
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