分電盤工事トラブルが2年間で156倍に急増 悪質業者が「火災になる」と不安をあおり高額請求
ブレーカーなどを収める分電盤の工事をめぐる消費者トラブルが後を絶たない状況が続いている。国民生活センターが発表した最新のデータによると、点検後に不要な部品交換や修理をして代金を請求する「点検商法」の手口のうち、分電盤に関する相談件数は2025年度に6088件(暫定値)に達した。これはわずか2年前の2023年度の39件から比較すると、実に156倍もの急増を示している。
「漏電で火災になる」と不安をあおる悪質な手口
寄せられた相談内容を分析すると、電気工事業者などをかたる人物が住宅を訪問し、分電盤などの点検を実施した後、「漏電などが発生して火災になるかもしれない」などと不安をあおり、必要のない部品の交換や修理を強引に進め、高額な請求を行うケースが非常に目立つという。消費者は突然の訪問に戸惑い、恐怖心をあおられることで、不当な契約を迫られる状況に陥っている。
従来の「屋根」から「分電盤」へ 悪質業者の対象が変化
点検商法の対象としては、従来は「家の屋根」が多く取り上げられてきた。業者から「屋根に損傷がある」と告げられて不要な工事をされるのが典型例だったが、行政処分や警察による摘発が相次いだことで、屋根に関する相談は減少傾向にある。その一方で、入れ替わるように分電盤の工事をめぐる相談が急増しており、同センターの担当者は「悪質な業者が、『屋根』から『分電盤』に対象を変えたのではないか」と指摘している。
さらに、水漏れなど日常生活での困りごとに乗じて高額請求をされるといった相談も目立ち、消費者が弱みにつけこまれる構図が浮き彫りになっている。相談全体のうち、インターネット広告から業者を呼んでトラブルに遭うケースは2025年度に5084件あり、全体の55.6%を占めた。これは、オンラインでの情報収集が一般的になる中で、悪質業者が巧妙に広告を利用している実態を反映している。
被害防止のための対策と相談先
国民生活センターは、こうした被害に遭わないために、以下の対策が有効だと強調している。
- 電話などで業者が点検を持ちかけてきたときは、安易に応じないこと。
- 修理や交換が必要と判断された場合でも、その場で契約せず、複数の業者から見積もりをもらうこと。
- 住宅設備が故障したときの対応を、あらかじめ管理会社などに相談しておくこと。
困ったときの相談先として、「消費者ホットライン」(電話番号188)を紹介している。この窓口では、専門家が適切なアドバイスを提供し、被害の拡大を防ぐ支援を行っている。
近年では、不要なブレーカー修理で高額請求をした疑いで「マッハ電気修理」の関係者が逮捕される事件も発生しており、悪質業者への取り締まりが強化される中で、消費者自身の警戒心がより一層求められる状況となっている。分電盤は家庭の安全を守る重要な設備であるだけに、適切なメンテナンスとともに、詐欺的な行為から身を守る知識が不可欠だ。



