南海トラフ津波避難訓練の新システム「逃げトレView」が発表
京都大学と九州大学などの研究チームが、南海トラフ地震の津波避難訓練に参加した個人の避難ルートや所要時間をまとめて分析できる新システムを開発したと発表しました。このシステムは「逃げトレView(ビュー)」と名付けられ、2026年4月から運用が開始されます。主に津波の想定される地域の自治体向けに提供され、地域の避難計画の検証に活用される予定です。
既存アプリ「逃げトレ」と連動したデータ分析機能
研究チームは2018年から、個人向けの津波避難訓練アプリ「逃げトレ」を無料公開してきました。このアプリはスマートフォンの位置情報を利用し、設定した避難先に向かう際に、南海トラフ地震で想定される津波が自分の居場所にどこまで迫っているかを画面上で表示する仕組みです。津波到達までの時間が示され、無事に避難できたかどうかも判定されます。これまでに高知県や宮崎県などでアプリを使った避難訓練が実施されています。
新システム「逃げトレView」はこのアプリと連動しており、各訓練参加者の避難ルートや所要時間などのデータを集約します。津波の浸水域とともにパソコンなどの画面に表示させ、参加者全体の避難成功率や避難ルートの人流をエリア別で分析可能にしました。一般には公開せず、契約した自治体などが利用できる仕組みとなっています。
防災計画の向上を目指す研究チームの取り組み
チームを率いる矢守克也・京都大学防災研究所教授(防災心理学)は、「津波による人的被害を減らすため、綿密な避難計画を考えるツールとして活用してほしい」と述べています。研究チームは今後、システムの普及に向けてNPO法人を設立する計画も明らかにしました。この取り組みは、南海トラフ地震のような大規模災害に対する防災対策の強化に貢献することが期待されています。
新システムの導入により、自治体はより効果的な避難経路の設定や訓練プログラムの改善が可能となり、地域全体の防災力向上につながると見込まれています。南海トラフ地震は、近い将来の発生が懸念される巨大地震であり、その対策は喫緊の課題となっています。



