冬眠明けのクマに警戒を 神奈川県秦野市で緊急銃猟訓練を初実施
冬眠シーズンが明け、全国各地でクマの目撃情報が相次ぐ中、神奈川県秦野市では13日、市街地で人的被害の可能性がある場合に発砲が認められる「緊急銃猟」の訓練が行われた。首都圏1都3県では初めての取り組みで、県警や市、地元猟友会などから約60人が参加した。
過去最悪の人的被害を受けて
昨年度はクマによる人的被害が過去最悪となったことを受け、今年も冬眠明けのクマへの警戒が強まっている。ツキノワグマの生息地である丹沢山系を抱える秦野市では、市街地への出没リスクが高まっていることから、今回の訓練が実施された。
訓練では、まずクマ目撃の通報を受けた県警や市が情報を共有。次に市が設置した現地本部が、猟友会メンバーで構成される「市鳥獣被害対策実施隊」を招集した。警察や市は地域住民に避難を呼びかけ、最後に市長から緊急銃猟の許可を得た実施隊が模擬銃を使用。県警の警察官が扮する「クマ」を駆除する手順を確認した。
猟友会メンバーの実体験
実施隊のメンバーとして訓練に参加した吉田益雄さん(76)は、昨年12月に山北町で実際にクマに遭遇した経験を持つ。クマまでの距離はわずか3メートルほどで、「銃を構える暇がないほど素早い動きをした」と振り返る。吉田さんは訓練を通じて、「市民の方々に被害が及ばないように対応していきたい」と語った。
秦野市農業振興課の岩田和剛課長は、今回の訓練について「迅速かつ安全な対応を目指すための重要な機会となった」と評価。市街地でのクマ出没時には、住民の安全確保が最優先であることを強調した。
全国的なクマ対策の強化
昨年度の人的被害の増加を受け、各地でクマ対策が強化されている。秦野市の訓練は、首都圏という人口密集地での初めての事例として注目を集めており、今後のモデルケースとなる可能性がある。専門家は、冬眠明けのクマは餌を求めて行動範囲が広がりやすく、住宅地への接近リスクが高まると指摘している。
訓練参加者からは、実践的なシミュレーションを通じて、緊急時の連携や手順の確認ができたとの声が上がった。今後も定期的な訓練の実施や、住民への注意喚起を継続していく方針だ。



