福島出身の地域おこし協力隊員が高知で防災ツーリズムを推進、被災地の記憶と教訓を伝える
福島出身隊員が高知で防災ツアー、被災地の記憶を伝える

福島出身の地域おこし協力隊員が高知で防災ツーリズムを推進

南海トラフ巨大地震で震度6強から7の揺れが2、3分続き、市街地で最大14、15メートルの津波が想定される高知県中土佐町。ここで、東日本大震災の被災地でガイド経験を積んだ地域おこし協力隊員の石山佳那さん(40)が、防災を学びながら地域の魅力にも触れてもらう「防災ツーリズム」の中心的な役割を果たしている。

被災地での経験を活かし、淡々と記憶を伝える

石山さんは福島県須賀川市の出身で、東日本大震災当時は留学準備のため東京にいた。実家との連絡がつかずに不安な日々を過ごした後、祖母の家が全壊したが隣人に助けられ全員無事だったとの連絡を受けた。この経験から、帰国後は福島で復興に携わる仕事を探し、2019年には葛尾村の復興支援員として地場産品販売などを担当した。

その後、浪江町に移り、福島県が掲げる「ホープツーリズム」に取り組んだ。これは、地震、津波、原子力災害、風評被害という複合災害に直面した同県が、復興の様子をありのまま伝えることで持続可能な社会づくりを探究する試みだ。石山さんは「被災体験を伝える語り部とは異なり、被災していない自分はむしろ淡々と、光と影の部分、町の記憶と教訓を伝えてきた」と語る。

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高知での新たな挑戦、防災ツーリズムを展開

任期満了が近づき、次のステップとして「防災や地域振興、観光などを組み合わせた活動に携わりたい」と希望を掲載したところ、中土佐町から声がかかった。葛尾村時代の研修で高知県を訪れた経験から「人と人の距離感の近さが高知にはある」と縁を感じ、面接などを経て採用が決まった。

昨年4月に中土佐町のなかとさ観光協会に着任してから1年足らずで、町が受け入れた約430人に津波避難タワーや高台移転した庁舎などを案内。福島の復興について話すだけでなく、観光列車のおもてなしやTシャツ、加工品などの物販にも取り組んでいる。

より柔軟な対応ができるように、今年からツアーの主体が町から観光協会に変わった。上ノ加江地区など町民の防災意識の高さにも触れながら、様々な地域で災害を「自分事」として考えてもらえるよう心掛けている。

多彩なプログラムで防災意識を高める

防災ツーリズムのプログラムは以下のように組み合わせることができる。

  • 津波避難タワー見学(40分、1人800円)
  • 役場周辺施設見学(20分、同500円)
  • 石山さんが語る「東日本大震災」(60分、同1万円)
  • 防災・減災について考えるワークショップ(60分、同1000円)
  • まち歩きガイドツアー(30分、同500円)

参加希望者はなかとさ観光協会ホームページの問い合わせフォームから「津波避難タワー視察について」にチェックして送信する。問い合わせは同協会(0889・59・2006)まで。

地域に根ざし、経験を伝え続ける決意

石山さんは「3・11後も、福島は幾度も震度6の地震があり、それを経験したこともガイドには生きている」と強調する。休日には愛媛県にも足を延ばして道の駅巡りを楽しみ、地域住民から宴席に誘われるのも楽しみの一つだ。

任期は3年だが、「その後もこの町に住み続け、今までの経験を多くの人たちに伝えていきたい」と、その先も見据えている。被災地での経験を礎に、高知の地で防災と地域活性化を結びつける新たな取り組みが続いている。

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