地震時の通電火災を防ぐ感震ブレーカー 三重県内での普及が大幅に遅れ
地震発生時の揺れを感知し、自動的に電気を遮断する「感震ブレーカー」の導入が三重県内で著しく遅れていることが明らかになった。県が2022年度から2024年度にかけて実施した調査では、「設置している」と回答した家庭の割合はわずか数%に留まっている。過去の大規模地震では、電気配線の損傷による火災が多数発生しており、その防止策として有効な装置の普及が急務となっている。
自治体による補助制度の導入と課題
2024年1月に発生した能登半島地震を受けて、桑名市は同年度から感震ブレーカーの設置補助事業を開始した。市の担当者は「桑名駅周辺など建物が密集した地域では、延焼リスクが特に高い」と指摘する。補助対象は市内に所有または居住する住宅で、購入費用や工事費用の半額を最大4万円まで支援。2024年度には29件、2025年度には63件の申請があった。
紀宝町では購入費用を最大3000円まで補助しており、2024年度に24件、2025年度は3月上旬までに3件の補助を実施。担当者は「まだ周知が十分でない。過去の通電火災の具体例を示しながら説明を強化したい」と語る。
過去の地震で顕在化した通電火災の脅威
1995年1月の阪神・淡路大震災や2011年3月の東日本大震災では、原因が特定された火災の半数以上が電気に起因するものだった。能登半島地震では、石川県輪島市の朝市通りで発生した大規模火災について、電気が原因である可能性が指摘されている。
こうした教訓を踏まえ、自治体は感震ブレーカーの設置を呼びかけているが、三重県が2024年度に県民5000人を対象に行ったアンケートでは、防災対策として「感震ブレーカーを設置している」と回答した割合は3.6%に過ぎない。2023年度は4.2%、2022年度は2.9%と、低水準が続いている。
認知度の低さと設置の必要性
県消防・保安課の担当者は「感震ブレーカーの存在そのものがまだ知られていない」と打ち明ける。停電からの復旧時に発生する「通電火災」を防ぐ有効な装置だが、「『命に直結するもの』というイメージが湧かず、必要性や効果が認識されにくい」と分析する。
感震ブレーカーには、工事が必要な分電盤取り付けタイプや、コンセントに差し込む簡易型など様々な製品があり、設置費用は数千円から10万円近くまで幅広い。
三重県は火災予防イベントなどで必要性を訴えており、消防・保安課担当者は「強い揺れの中で、とっさにブレーカーを落として避難できるとは限らない。自宅だけでなく、地域全体を火災から守ることにもつながるため、設置を検討してほしい」と呼びかけている。



