熊本地震から10年、3D画像解析で石垣崩落の連鎖的ダメージを解明
2016年に発生した熊本地震から、本震から10年を迎える16日を前に、共同通信が撮影した航空写真を基に作成した高精細3次元(3D)画像の比較により、前震と本震による連鎖的なダメージの実態が明らかになった。専門家の分析によれば、熊本城(熊本市中央区)天守閣入り口の石垣は、前震で緩みなどの変形が生じ、その約28時間後に発生した本震で崩落していたことが判明した。
前震と本震の3D画像を詳細に比較
この研究では、共同通信が前震翌日の2016年4月15日に撮影した216枚の航空写真と、本震10日後の4月26日に撮影した511枚の航空写真を基に、谷田川達也・一橋大学准教授の協力のもと、2種類の3D画像を作成した。これらの画像を比較することで、石垣の損傷の経緯を詳細に追跡することが可能となった。
比較結果からは、天守閣入り口に向かって右側の石垣に、前震後に緩みなどの変形が生じていたことが確認された。さらに、本震後には左右の石垣が崩れ、入り口が完全にふさがれた状態になったことが分かる。周辺の石垣も本震後、大きく損壊しており、激しい揺れが続いたことでダメージが累積し、被害が拡大した様子が浮き彫りとなった。
専門家が指摘する「構造の弱体化」
熊本城文化財修復検討委員会委員長を務める山尾敏孝・熊本大学名誉教授(土木工学)は、この現象について「石垣の構造が前震で弱くなった状態で本震が襲った。前震が本震の被害に影響した」と指摘した。熊本県内では最大震度7を2回観測した熊本地震において、前震と本震の連続的な揺れが、石垣のような歴史的建造物に与える累積的なダメージの重要性を強調している。
この発見は、地震による文化財の被害評価や修復計画において、単発の揺れだけでなく、連続する地震による累積的影響を考慮する必要性を示唆している。熊本城の修復作業においても、こうした科学的知見が今後の保全策に活かされることが期待される。
熊本地震から10年を経た今、3D技術を駆使した詳細な分析により、当時の被害の実態がより鮮明に理解できるようになった。これは、歴史的遺産の保護と地震防災の両面で、貴重な教訓を提供するものと言えるだろう。



