駅伝大会で熱中症死、遺族が取引先と勤務先に損害賠償申し立てへ「参加拒否できなかった」
駅伝で熱中症死、遺族が損害賠償申し立て「参加拒否困難」

駅伝大会参加中の熱中症死亡事故、遺族が企業2社に損害賠償請求へ

取引先企業の有志と共同で開催された駅伝大会に参加し、熱中症で死亡した社員の遺族が近く、東京簡易裁判所に損害賠償を求める調停を申し立てることが明らかになった。遺族側は「重要な顧客との親睦行事として業務に密接に関連しており、参加を拒否することは困難だった」と主張している。

27歳男性社員が駅伝大会で熱中症に

調停を申し立てるのは、東京都内の情報通信会社に勤務していた男性(当時27歳)の遺族である。代理人を務める尾林芳匡弁護士によると、男性は2023年5月、勤務先と取引先の飲料メーカーの社員有志が主催した駅伝大会に出場した際、熱中症を発症して倒れ、救急搬送された。その後、約2か月にわたる闘病の末、同年7月に死亡したという。

遺族側は、この駅伝大会が「業務に密接に関連した行事」であったと強調している。重要な取引先との関係構築を目的とした親睦イベントであり、社員として参加を断ることは事実上不可能だったと訴えている。さらに、大会主催者である両社には、適切な熱中症予防措置を講じるべき注意義務があったにもかかわらず、それを怠ったとして責任を追及する方針だ。

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企業側は「私的活動」と反論

一方、死亡した男性の勤務先となる情報通信会社は、取材に対し「社員の参加は完全に任意であり、業務命令や会社からの指示、職場による強制などは一切なかった」と説明している。同社はあくまで社員の自主的な参加に基づく私的活動であったと主張し、業務との関連性を否定している。

取引先の飲料メーカーも同様の見解を示しており、「当社の公式行事や業務として実施されたものではなく、業務外の私的活動である」とコメントした。両社とも、イベントの性質上、企業としての責任は限定的であるとの立場を取っている。

労災申請は却下、再審査請求中

男性の死後、遺族は労働災害(労災)の申請を行ったが、これは却下されている。却下理由としては、駅伝大会について会社側の命令があったとは認められない点が挙げられた。現在、遺族側は労働保険審査会に対して再審査を請求しており、この問題の法的な争点がさらに深まっている状況だ。

この事件は、企業間の親睦行事における業務関連性の判断や、熱中症予防対策の責任の所在について、重要な議論を呼び起こす可能性がある。夏場の屋外イベントにおける安全対策の重要性が改めて問われるとともに、社員の参加が「任意」とされながらも、実際には断りにくい環境が生じている実態にも焦点が当たっている。

今後の調停手続きでは、以下の点が主な争点となる見込みである:

  • 駅伝大会が業務に密接に関連していたかどうかの法的判断
  • 企業側に熱中症予防措置を講じる義務があったかどうか
  • 「任意参加」とされる行事における社員の実際の選択の自由の程度

遺族側の主張が認められれば、類似の企業イベントにおける安全対策の見直しや、参加強制の防止に向けた取り組みが促進される可能性もある。関係者によれば、調停の申し立ては近日中に行われる予定で、今後の展開が注目されている。

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