飲み会のセクハラ発言を制止せず懲戒処分、東京地裁が「無効」と判決
セクハラ発言制止せず懲戒処分、地裁が「無効」判決

飲み会のセクハラ発言を制止しなかった社員の懲戒処分、東京地裁が「無効」判決

2026年4月8日、東京地裁(松下絵美裁判官)は、社員同士の飲み会で同席者のセクハラ発言を止めなかったことを理由に懲戒処分を受けた男性社員が勤務先の大手損害保険会社を訴えた裁判で、男性側の主張を認め、処分を無効とする判決を言い渡しました。この判決は、職場外の飲み会におけるハラスメント対応の責任範囲に一石を投じる内容となっています。

事件の経緯と会社側の主張

判決によると、男性社員は終業後に複数の社員で行った飲み会において、別の男性社員が女性社員に対してセクハラ発言を繰り返したにもかかわらず、それを制止しなかったとして、2024年5月に譴責処分を受けました。会社側は裁判で、従業員には他者のハラスメントを容認せず声を上げるよう徹底して指導してきたと主張し、発言を止めるなどの介入をしなかった行為は「ハラスメントの間接的な幇助にあたる」として処分の正当性を訴えました。

さらに、会社側が作成した処分に関する報告書には、複数のセクハラ発言が記録されていましたが、東京地裁はこの点について詳細な検証を行いました。

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裁判所の判断と理由

東京地裁は、報告書に記載された発言のうち、「ブラジャーのひもが見えている」との発言以外は具体的な状況や趣旨が不明確として認めませんでした。そして、この発言についても、「直ちにセクハラにあたるとは言いがたく、男性社員に止める義務があったとはいえない」と判断しました。

裁判所は、職場外の飲み会という場面において、同席者にハラスメント発言を制止する法的義務が一般的に存在するかどうかについて慎重な見解を示しました。また、会社側が裁判で女性社員の証人尋問や陳述書の提出を行わなかった点も、事実関係の立証が不十分である一因となった可能性が指摘されています。

この判決は、企業のハラスメント防止対策が拡大解釈されることへの警鐘とも受け取れ、労働現場における個人の責任範囲の明確化が改めて問われる結果となりました。今後、類似の事例において、どのような場合に同席者の制止義務が生じるのか、さらなる議論を呼ぶことが予想されます。

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