子育てと仕事を両立、リスキリングで自立した女性の挑戦
政府や企業が推進する「リスキリング(学び直し)」は、キャリアを積んだ会社員だけのものではない。出産や育児を機にいったん職場を離れた女性たちの間でも、その関心が急速に高まっている。新たなスキルを身につけ、自立への道を歩み始めた女性たちの姿が注目を集めている。
家事と育児の合間に仕事時間を捻出
千葉県内に住む秋谷みず帆さん(33)は、小学生と幼稚園児の3人の子どもを育てながら、自宅を拠点にウェブ制作の仕事に従事している。最近では自身の成長を実感し、「仕事が初めて楽しいと思えるようになった」と明かす。
秋谷さんの一日は、家事と育児の合間に仕事時間をひねり出す工夫の連続だ。朝、子どもたちを送り出した後、迎えまでの時間を集中的に作業に充てる。さらに夜、子どもが寝静まった後も作業を続け、一日の合計で約9時間の労働時間を確保している。「子どもとの時間を大切にできるのが一番です」と、彼女は笑顔を見せる。
自立への決意がリスキリングのきっかけ
秋谷さんがリスキリングに踏み出したのは2022年のことだった。夫との関係に悩み、経済的な自立を考えたことが大きなきっかけとなった。かつてはハウスクリーニング会社の正社員として働いた経験もあるが、その後は専業主婦として8年間を過ごしていた。保育園への入所条件を満たすことが難しく、在宅で可能なスキルを求める中で、ウェブ制作のオンラインスクールに出会ったのである。
「根性は必要だが道は開ける」という信念のもと、プログラミングを中心とした学習に取り組んだ。当初は困難も多かったが、徐々にスキルを磨き、現在ではクライアントからの依頼に応えるまでに成長した。
女性のリスキリング需要が拡大
秋谷さんのようなケースは、近年増加傾向にある。出産や育児による離職後、再び職場に戻りたいと考える女性は少なくない。しかし、従来の職場環境や勤務形態では、子育てとの両立が難しい場合が多い。そのため、在宅ワークやフレキシブルな働き方を可能にするデジタルスキルの習得に、多くの女性が関心を寄せている。
リスキリングは単なるスキルアップではなく、人生の再設計にもつながる。秋谷さんは「仕事を通じて自信がつき、子どもにも良い影響を与えられていると感じる」と語る。彼女の成功例は、同じ境遇にある女性たちに希望を与える存在となっている。
今後の課題と展望
一方で、リスキリングを支援する環境の整備はまだ道半ばだ。オンラインスクールなどの学習機会は増えているものの、経済的負担や時間的制約から、学び直しに踏み切れない女性も多い。政府や企業には、より手軽で持続可能な支援策が求められている。
秋谷さんは今、自身の経験を活かし、同じように悩む女性たちへのアドバイスも始めている。「小さな一歩から始めることが大切。私も最初は不安だったが、今では仕事が生きがいになっている」と、前向きなメッセージを送る。
リスキリングを通じた女性の社会進出は、個人のキャリア形成だけでなく、社会全体の活性化にも寄与する。秋谷さんのような挑戦者が増えることで、多様な働き方がさらに広がることが期待される。



