山梨県警が全国初の「飛び級採用」制度を導入、社会人経験者は巡査部長からスタート
山梨県警察は、2026年度の採用試験から、社会人経験のある一部の受験者を対象に、全国で初めて「飛び級採用」制度を導入します。この新制度では、通常の「巡査」ではなく、一つ上の階級である「巡査部長」として採用され、能力によってはさらに上位の「警部補」での採用も視野に入れています。これは、警察官のなり手不足の解消と、多様な人材の確保を目指す取り組みの一環です。
社会人経験者を対象とした飛び級採用の詳細
対象となるのは、民間企業や公務員などで5年以上の職務経験を持つ61歳以下の男女で、県内外を問いません。選考プロセスでは、適性検査や面接、論文試験を実施し、特にIT(情報技術)や金融、国際分野など、幅広い警察業務に職務経験が活かせるかどうかを個別面接で評価します。これにより、経験豊富な社会人を即戦力として迎え入れることが可能になります。
山梨県警の椿紀孝採用管理官は、この制度の背景について、「世間から『階級社会』と言われていることも敬遠される要因の一つ」と分析しています。社会人採用者がステップアップする際に、同世代に後れを取らないようにする狙いもあり、受け付け期間は9日から5月29日まで設定されています。
警察官採用の現状と課題
警察庁のデータによると、全国の警察官採用試験の受験者数は2010年度には13万人を超えていましたが、2024年度には4万人あまりに激減しています。山梨県警でも、2025年度の受験者数は242人と、10年前の約3分の1にまで落ち込みました。少子高齢化や「危険な仕事」というイメージが影響しているほか、階級社会への懸念も敬遠される要因となっています。
このような状況を打破するため、山梨県警は飛び級採用を導入し、経験豊富な社会人を積極的に受け入れる方針です。これにより、警察組織の多様性を高め、業務効率の向上を図ることが期待されています。
長野県警のスポーツ選手向け選考枠も拡大
一方、長野県警察では、プロやアマチュアのスポーツ選手に特化した「スポーツキャリアアピール採用選考」を新設しました。現役または元選手で、プロのスポーツクラブや実業団に所属し、35歳以下で3年以上の競技経験がある人が対象です。この取り組みは、スポーツ選手のセカンドキャリアとしての需要を取り込むとともに、鍛えられた精神力や体力を警察官として活かすことを目的としています。
両県警の動きは、警察官の採用難に直面する中で、多様な人材を確保するための模索が広がっていることを示しています。これらの制度が、今後他の地域にも拡大する可能性も考えられます。
山梨県警の飛び級採用は、社会人経験者に新たなキャリアパスを提供し、警察組織の活性化を促す画期的な試みです。これにより、警察官のなり手不足の緩和と、質の高い人材の確保が期待されています。



