入社式に新たな波、電車貸切やギネス挑戦で多様化が進む
2026年4月1日、新年度の幕開けとともに、各企業で新入社員が新たな一歩を踏み出した。少子化や深刻な人手不足が社会問題となる中、企業は新人を歓迎するための独自の取り組みを強化している。一方で、雇用環境の変化を反映し、従来型の入社式を廃止する大手企業も現れており、春の風物詩とも言える入社式が一様ではなくなっている。
体験型イベントで記憶に残る式典を目指す
コンビニエンスストア大手のセブン―イレブン・ジャパンは、新入社員109人を対象に、東京都江東区の東京ビッグサイトで入社式を開催した。この式典は商品展示会と併設され、新入社員たちは紅茶や「焼きたてパン」などの新商品を試食しながら、先輩社員の案内で展示を見学した。
阿久津知洋社長は取材に対し、「今年の新入社員は、昨年の業績不安やカナダ企業からの買収懸念が囁かれる中で就職活動を経て入社を決断してくれた。そのため、記憶に残る体験型の式典を企画した」と語り、感謝の意を示した。
ギネス挑戦でグループの一体感を醸成
NTTドコモは、MUFGスタジアム(国立競技場)を会場に、グループ合同の入社式を実施した。1390人の新入社員が集まり、昼頃からは人文字で企業ロゴを表現する最多人数のギネス世界記録に挑戦するなど、ユニークな企画が目立った。
本昌子総務人事部長は、「堅苦しい式典ではなく、フランクな雰囲気でグループの一体感を味わってもらうことを重視した」と説明し、従来の形式にとらわれないアプローチを強調した。
電車貸切りで鉄道の魅力を体感
京浜急行電鉄は、4両編成の貸し切り車両に新入社員116人を乗せ、京急本線の神奈川新町―品川間を走行させるという初の試みを行った。車内では、運転士の制服を着た川俣幸宏社長が笑顔で新入社員に声をかけ、交流を深めた。
このイベントは、沿線の開発事業を車内から視察することで、仕事への使命感を育むことを目的としている。川俣社長は「鉄道の素晴らしさや社会的意義を肌で感じ取ってもらいたい」と語り、新入社員の上野想さんも「貴重な経験で、今後の仕事に活かしたい」と意気込みを語った。
アットホームな雰囲気を重視する企業も
創業245年を迎える製薬大手など、伝統ある企業では、アットホームな雰囲気を大切にした入社式を実施するケースも多い。こうした多様な取り組みは、雇用環境の変化に応じて、企業文化や価値観を新入社員に伝える手段として進化している。
全体として、入社式は単なる儀礼的な行事から、企業の魅力をアピールし、新入社員の定着を促す重要な機会へと変容を遂げている。少子化や人手不足が続く中、こうした創意工夫は今後もさらに広がることが予想される。



