2月の実質賃金が2カ月連続プラスに転じる
厚生労働省が4月8日に発表した2月分の毎月勤労統計調査(速報)によると、物価を考慮した働き手1人あたりの実質賃金は前年同月比1.9%増加し、2カ月連続でプラスとなりました。これは14カ月ぶりの2カ月連続プラス記録となります。物価の伸びが鈍化したことが主な要因で、電気・ガスへの補助金や食料品価格の安定が影響しています。
名目賃金は50カ月連続でプラス維持
労働者が実際に受け取った現金給与総額(名目賃金)は3.3%増の29万8341円で、50カ月連続のプラスを記録しました。基本給などの所定内給与も3.3%増の26万9154円、残業代を含む「きまって支給する給与」も3.3%増の28万9288円となり、33年ぶりの高い伸びを示しています。
特にフルタイムの一般労働者の所定内給与は3.7%増と過去最高の伸びを記録し、これは春闘による高い賃上げが反映されたものと見られています。企業の賃上げ意欲が依然として高い水準を維持していることがうかがえます。
物価上昇の鈍化が実質賃金を押し上げ
実質賃金の計算に用いられる消費者物価指数(持ち家の帰属家賃を除く総合)は1.4%上昇で、1月の1.7%上昇から伸び率が鈍化しました。この鈍化には以下の要因が影響しています:
- 2月から開始された電気・ガスへの補助金の反映
- ガソリンの旧暫定税率廃止の継続効果
- 食料品、特にコメの価格が落ち着いてきた影響
政府のエネルギー価格対策が家計の負担軽減に一定の効果を発揮していることがデータから読み取れます。
今後の実質賃金には不透明感も
一方で、専門家からは中東情勢の緊迫化などによる原油価格の上昇圧力が、今後の物価上昇を加速させる可能性が指摘されています。もし物価上昇が再び加速すれば、実質賃金のプラス基調が崩れるリスクも存在します。
現在の賃金上昇は春闘の影響が大きいため、今後の企業業績や経済情勢の変化によっては、賃上げペースが鈍化する可能性も否定できません。家計の実質的な購買力が持続的に向上するかどうかは、物価動向と賃金上昇のバランスが鍵を握っています。
厚生労働省は引き続き賃金・物価動向を注視し、必要に応じて政策対応を検討していく方針です。労働環境の改善と家計の安定化に向けた取り組みが、今後も重要な政策課題となるでしょう。



