立教英国学院、日英融合教育の成果でUCLに2人現役合格 開校以来初の快挙
立教英国学院(イギリス西サセックス州)は、2025年度大学入試において、イギリスの名門国立大学であるユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)に、2人の現役合格者を輩出した。この成果は、同校が2010年代から推進してきた「日英融合教育」の実績として評価されており、開校以来初めての快挙となっている。
日英融合教育の背景と進化
同校は、文部科学省認定の在外教育施設として設立され、当初は企業の駐在員子女を主な対象に、「英国にいながら日本の教育を受け、日本の大学入試に対応できる学校」を使命としていた。しかし、2010年頃から教育方針を転換し、英語授業での翻訳を減らし、英語で直接思考させる授業を導入した。
カリキュラム開発部長の羽田徳士教諭は、「生徒の英語力向上や進路多様化が進み、単に英語を学ぶだけでなく、英語で思考し、判断し、表現する力の重要性が学校全体で意識されるようになりました」と語る。これに伴い、生徒の進学先も、日本の大学からイギリスを始めとする海外の大学を目指すケースが増加した。
カリキュラム改革と脳神経科学の知見
2015年には英国大学進学コースを設置し、イギリス人教師がIELTS対策やクリティカルシンキング、歴史、文学などを英語で指導する体制を整えた。ジェニファー・フォーリー副校長は、UCLで教育分野の脳神経科学を学んだ経験から、「第2言語を学ぶ際は母語を介さない方が脳に混乱を来さず理想的」と指摘し、英語授業のオールイングリッシュ化を推進している。
現在、同校の週35コマの授業のうち、13~14コマがオールイングリッシュで実施されている。一方で、世界史や古典など日本語での授業も週21~22コマと多く、母語での思考力の発達が第2言語の習得にも不可欠との考えに基づいている。
合格者2人の体験談
UCLに合格した磯部恭輔君は、小学校時代に日本で教育を受け、中学から同校に入学した。当初は英語授業で日本語で考えていたが、「徐々に英語で考えるようになり、思考力が自然と身についた」と振り返る。現在はUCLのファウンデーションコースに在籍し、英語でのインプットからアウトプットまでを英語で行えるようになったという。
もう一人の合格者、大工原遙さんは、幼少期を英国で過ごし、高校で同校に編入した。「英語で考える方が楽」と語り、英語と日本語の使い分けができていた。彼女はUCL以外にも上智大学と早稲田大学に合格し、現在は早稲田大学国際教養学部で学んでいる。難民や移民問題に関心があり、日本の視点からこのテーマを深く学びたいと考えたことが進学の理由だ。
今後の展望と教育改革
羽田教諭は、UCLの選考が英語のエッセーや口頭説明、クリティカルシンキング試験を含むため、「単に英語が流暢なだけでは合格できず、深い思考力と高い英語運用能力が必要」と説明する。2人の合格は、長年の教育実践の蓄積が可視化された象徴的な出来事と捉えている。
同校は2022年の創立50周年を機に「アカデミック学校教育将来展望」を打ち出し、日英融合教育の方向性を明確にした。今後も「学び続ける学校」として、生徒一人一人に合わせたサポートを強化し、教育改革を進めていく方針だ。



