デイジー教科書の活用が現場で拡大、日本語が苦手な子どもにも効果
漢字にふりがなをつけたり、文章を読み上げさせたりできるデジタル教科書「マルチメディアデイジー教科書」の利用が、年々増加しています。文字を読むのが苦手な児童や生徒に加え、2年前からは日本語が母語でない子どもたちも使用できるようになり、教育現場での活用が広がっています。しかし、その製作はボランティアに依存しており、必要な児童生徒に十分に行き渡っていないのが現状です。
政府が正式教科書として位置づけ、特徴的な機能で学習を支援
この教科書は「教材」として位置づけられており、政府が正式な教科書とすることを決定したデジタル教科書の一つです。ふりがなや読み上げ機能だけでなく、読み上げている部分の背景色が変わることで、どこを読み上げているかが視覚的に分かるようになっています。これにより、字を読むのが苦手な子どもでも文章を追いやすく、学習を支援する特徴を持っています。
大阪府和泉市の市立国府小学校では、2026年1月、通常の学級に在籍しつつ課題に応じて指導を受ける「通級指導教室」にやってきた児童が、この教科書を使って国語などを学んでいました。児童はタブレットでQRコードを読み込み教科書を開き、文字の背景色が変わるのに合わせて文章を声に出して読み、登場人物の心情を考えるなどの学習活動を行いました。
音と文字を合わせる支援で、読みにくさを軽減
教育関係者は、「音と文字を合わせるのを支援する機能が、特に読みにくさを訴える児童に効果的だ」と指摘します。背景色の変化により、視覚的な手がかりが得られるため、集中力が高まり、理解が深まることが期待されています。このようなデジタルツールは、多様な学習ニーズに対応する手段として、重要性を増しています。
しかし、課題も顕在化しています。デイジー教科書の製作は主にボランティアによって行われており、リソースが限られているため、すべての必要な児童生徒に提供できていない状況です。普及率の低さが指摘され、より体系的なサポート体制の構築が求められています。
今後の展望と教育現場での役割
デジタル教科書の導入は、教育の個別化やインクルーシブ教育を推進する上で鍵となります。日本語が苦手な子どもや学習障害を持つ児童にとって、デイジー教科書は学習の障壁を下げる重要なツールです。政府や教育機関は、ボランティア依存から脱却し、持続可能な製作・配布システムの確立に取り組む必要があります。
現場の教師からは、「この教科書を使うことで、子どもたちの自信がつき、学習意欲が向上している」との声も聞かれます。今後の普及拡大に向けて、以下の点が重要と考えられます。
- 製作体制の強化と専門家の関与
- 学校への導入支援と教員研修の充実
- 多言語対応や機能のさらなる拡充
デイジー教科書は、教育の公平性と質の向上に貢献する可能性を秘めており、その普及が待たれます。



