岡山市立中学校で朝練廃止へ、教員負担軽減と生徒の健康を優先
岡山県内で部活動の「朝練」を取りやめる動きが加速しています。玉野市や赤磐市に続き、岡山市でも来年度から全市立中学校で朝練の廃止が決定されました。この措置は、教員の働き方改革を進めるとともに、成長期にある生徒たちの睡眠時間を確保することを主な目的としています。しかし、グラウンドを広く使うなど朝にしかできない練習もあり、現場では対応に苦慮する声も上がっています。
野球部の朝練、貴重な練習時間として活用
寒さの厳しいある日の午前7時半頃、岡山市立岡山中央中学校のグラウンドでは、野球部員9人が顧問の教諭と共に朝練に励んでいました。同校では野球部のみが週3回の朝練を実施しており、グラウンド全体を使用できるため、投手や守備を交代しながら3人が同時にバッティング練習に取り組める利点があります。
一方、放課後は陸上部とグラウンドを共用するため、バッティング練習ができません。さらに、練習時間は下校時刻の午後5時半までの約1時間に限られており、キャプテンの生徒(14歳)は「打撃を鍛えられる貴重な時間なので朝練廃止は残念ですが、準備を早くするなどして放課後の練習時間を確保したい」と語りました。
また、2年生の生徒(14歳)は「先生も大変だったと思うし、仕方ない」と顧問を気遣い、英語を担当する野球部顧問の大西真弘教諭(27歳)は「朝の時間を授業準備に充てられるのは助かります。でも、どこで練習を補うかは悩ましいです」と本音を打ち明けています。
教員の働き方改革と生徒の健全な成長を重視
岡山市教育委員会は、朝練廃止の理由として教員の労働時間の是正と生徒の健全な成長を挙げています。文部科学省の2024年度調査によると、中学校教諭の39.5%が国の指針で定める「月45時間」の上限を超える時間外勤務をしており、朝練はその一因となっていました。
子育てへの影響も大きく、同校で剣道部の顧問を務める小野哲弥教諭(39歳)は「子供を保育所に送ってからだと、登校は8時がやっとで、朝練までは難しい」と述べています。市教委によれば、成長期の中学生にとって栄養状態や睡眠への影響も懸念され、岡山市立岡輝中学校の服部道明校長は「朝起きてすぐに家を出ることになるので、朝食の欠食につながりやすい。授業での集中に影響する生徒もいます」と指摘しました。
県内他市でも同様の動き、全国的な部活動改革の流れ
岡山県内では、赤磐市が2022年度から朝練を廃止するなど、各自治体で類似の取り組みが進んでいます。津山市では2026年度から朝練を廃止し、休日には原則として部活動そのものを実施しない方針です。
2020年度から原則廃止した玉野市教育委員会の担当者は「様々な意見の教員がいましたが、今は納得してもらっています。一つのグラウンドを共用する場合でも、どの時間にどの部が使うか、より細やかに話し合うことなどで解決しています」と説明しました。
全国に先駆けて2014年から朝練の原則廃止を含む部活動改革に着手した長野県の担当者も「導入当時、現場からの反発は小さくなかったですが、今ではすっかり定着しています。競技会での成績が下がったという声も聞きません」と強調しています。
専門家の見解、個人練習の重要性も指摘
関西大学の神谷拓教授(スポーツ教育学)は「部活動を顧問が見守らなければいけないのであれば、教員の負担を減らすために廃止するのは一定理解できます」と述べた上で、「スポーツの上達にはチーム全体での練習だけにこだわる必要はなく、早起きが得意な子は、課題を見つけて始業前に広場などで個人練習することも有効です。子供たちが自分で考えて取り組む姿勢を身につける契機にしてほしい」と提言しました。
この朝練廃止の動きは、教員の働き方改革と生徒の健康を両立させるための試みとして、今後も全国的に注目されていくことでしょう。



