「ヤンチャ校長」が数十億円の負債を抱える学校を人気校に変えた軌跡
長崎県諫早市にある学校法人奥田学園の理事長であり、創成館高校の校長を務める奥田修史さん(54歳)は、教育界で異色の存在として知られています。30代前半という若さで理事長と校長の重責を担い、定員割れと経営難に苦しんでいた学校を見事に立て直し、今では甲子園出場を果たす人気校へと変貌させました。
甲子園のアルプス席で生徒と声をからす校長
昨年の夏、創成館高校野球部は3年連続で夏の甲子園出場を果たしました。そのアルプス席の最前列には、赤色のメガホンを手に、「校長」と背中に記されたユニホームを着た奥田さんの姿がありました。球児たちと肩を並べて声援を送るその姿は、SNS上でも「チャラくて面白い」と話題を呼び、多くの注目を集めました。
奥田さんが学園の経営を引き継いだきっかけは、前理事長であった父・一正さんの死でした。若くして大きな責任を背負うことになった彼は、座右の銘として「人間万事 塞翁が馬」を掲げています。一見すると不幸な出来事でも、将来にとっては最高の転機となる可能性があるという考え方です。この哲学は、彼自身の波乱に富んだ人生経験から深く根付いています。
不登校経験と留学が築いた教育への思い
奥田さんの幼少期は決して順風満帆ではありませんでした。体が弱く、いじめに遭い、中学校では不登校を経験しています。高校受験でも第一志望に不合格となる挫折を味わいました。しかし、親戚がいる福岡県の「荒れた高校」に進学し、寮長に選ばれたことをきっかけに自信を取り戻します。この経験が後の米国留学へとつながり、ハワイ大学を卒業するに至りました。
帰国後は母・順子さん(90歳)の勧めで奥田学園に就職し、5年後に父を亡くしたことで学園と高校の経営を継承します。当時の学校は数十億円もの負債を抱え、経営が危機的な状況にありました。
生徒たちに伝える「一喜一憂しない」姿勢
奥田さんは教育現場のトップとして20年以上にわたり、生徒たちと真っ正面から向き合い続けています。自身の経験から、生徒たちにはよく「目の前のことに一喜一憂しないこと」と伝えています。これは、人生の浮き沈みを自らが体験してきたからこそ説得力を持つメッセージです。
校舎の前で学校の歩みについて語る奥田さんの姿は、逆境を乗り越え、新たな価値を創造する教育者の象徴と言えるでしょう。創成館高校は今、野球部の活躍だけでなく、地域から信頼される教育機関として確固たる地位を築いています。



