生徒の探究活動を支える資金調達の新たな道
熊本市立千原台高校の南弘一校長(61歳)は、生徒たちの熱意ある探究活動を前に、一つの大きな課題に直面していました。校外での実地調査やプロジェクト実施には費用がかかるものの、学校側から特定の生徒に直接金銭を渡すことはできず、旅費の捻出に頭を悩ませていたのです。
「自分たちで稼ごう」という発想の転換
転機は、ある生徒の提案から訪れました。修学旅行生を熊本県の観光地・阿蘇地域に呼び込む方法を探るため、現地調査を希望したのです。南校長は「自腹で行かせるか」と悩んだ末、「自分たちで稼ごう」という画期的なアイデアを思いつきました。これが一般社団法人「ワンサウザン」設立の直接的なきっかけとなったのです。
法人設立による持続可能な支援体制
2023年5月、南校長は資金調達を目的とした一般社団法人「ワンサウザン」を正式に設立しました。法人名は校名の「千」などから着想を得ています。主な活動内容は以下の通りです:
- 教育関係者向けセミナーの開催による収入確保
- 企業からの寄付金の受け入れ
- 得られた資金を学校の探究活動に充当
公務員の副業禁止規定に抵触しないよう、法人の目的を社会貢献と明確にし、定款を整備。熊本市教育委員会からの了承も取得しています。勤務時間中に法人活動を行う際は時間休を利用するなど、透明性を確保しています。
探究教育の充実と地域課題解決への貢献
千原台高校は2023年度に健康スポーツ探究科と情報ビジネス探究科を新設し、社会や地域の課題解決を目指す探究教育に力を入れています。生徒たちは「通学自転車のヘルメット着用率向上策」や「旧校舎解体前の同窓生交流イベント」など、多様なテーマに取り組んでいます。南校長は「一生懸命な姿はかっこいい」と語り、生徒の自主性を尊重しながら、実現可能な方法を共に模索しています。
この取り組みは、教育現場における資金不足という普遍的な課題に対し、学校自らが収益事業を展開するという新たなモデルを提示しています。地域社会と連携しながら、生徒の学びを支える持続可能な仕組みとして、今後の教育界に大きな影響を与える可能性を秘めています。
