学校と保護者の対立が子どもを置き去りに 解決の鍵は「初動対応」と相互理解
子どものためを思って行動しているはずなのに、学校と保護者が対立してしまうケースが後を絶たない。このような状況では、子ども自身が置き去りにされる「空中戦」が発生し、教育環境に悪影響を及ぼす可能性がある。東京都内の学校でスクールソーシャルワーカー(SSW)やスクールカウンセラー(SC)として活動する公認心理師の植原亮太氏は、「保護者にも学校を育てる視点を持って欲しい」と訴え、双方の歩み寄りが不可欠だと強調する。
不信感が対立を生む 学校側の初動対応がカギ
植原氏によれば、学校と保護者の対立は、親が学校に対して不信感を抱いた時に発生しやすい。SCとして双方と接する中で、問題がこじれるケースでは、学校側が初動対応を誤る場合が多いという。保身に走らず、まずは保護者の主張を真摯に受け止める姿勢が重要だと指摘する。
「マニュアル通りにやっています」といった形式的な対応は、トラブルの原因になり得る。なぜなら、手順の正しさは保護者の不信感には直接関係がないからだ。同様に、気持ちを聞く前から「そういうことはないはず」と決めつける態度も、問題を悪化させる要因となる。
すれ違いの具体例 いじめと不登校をめぐるケース
実際の事例として、いじめを原因に不登校になった子どもがオンライン授業に参加できる状況だったにもかかわらず、学校がその情報を保護者に伝えなかったケースがある。保護者は「なぜ伝えてくれなかったのか」と不満を抱く一方、学校側は「登校できない状況でプレッシャーをかけたくない」と配慮したつもりだった。このような意図のすれ違いが、相互不信を深める結果を招く。
子ども中心の環境づくりへ 双方の関わり方を見直す
植原氏を招いた記者サロン「学校と保護者 どう付き合う?」では、大人が緊張せず、子どもが安心して過ごせる場所を築くための方法が議論された。その中で、以下の点が重要なヒントとして挙げられている。
- 学校側は、保護者の声に耳を傾け、丁寧な説明を心がける
- 保護者は、学校の事情や制約を理解し、協力的な姿勢を示す
- 双方が子どもの最善の利益を最優先に考える
教育政策の一環として、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの役割が再評価される中、対立を予防する仕組みづくりが急務となっている。専門家の介入や第三者機関の活用も、問題解決の有効な手段として注目されている。
海外の事例に学ぶ 子どもと家族を中心とした支援体制
子育てアドバイザーの高祖常子氏は、フランスの視察研修で、常に子どもと家族を中心として複数の支援者が集まる体制が印象的だったと述べる。日本では、当事者である子どもの気持ちが後回しにされ、学校や保護者がストーリーを作ってしまう傾向があるという。この点を改善するためには、子どもの声をしっかり聞く姿勢が不可欠だ。
植原氏は、学校と保護者が対立する「空中戦」を避け、子どもが安心できる環境を維持するためには、双方の努力と理解が欠かせないと結論付ける。教育現場の課題解決に向けて、継続的な対話と協力が求められている。



