子ども向け図鑑が深化、国宝や恐竜から音楽まで多様化とデジタル進化
子ども向け図鑑が深化、国宝や恐竜から音楽まで進化

子ども向け図鑑の進化が止まらない

ヘラクレスオオカブトやラフレシア、古代生物から何百光年も離れた星々まで、図鑑は実際に見るのが難しい世界を教えてくれる存在だ。かつては学習の補助的な役割だったが、近年ではテーマや見せ方が大きく進化し、各出版社から趣向を凝らした図鑑が次々と刊行されている。

テーマの深化と多様化

千葉県立中央博物館の主任上席研究員で、「図鑑博士」として知られる斎木健一さん(63歳)は、「図鑑が取り上げるテーマは『広く浅く』から、より深いものに変化しています」と語る。例えば、『小学館の図鑑NEOアート はじめての国宝』は、絵画や彫刻、工芸品、建造物など国宝に焦点を当て、土器・陶器・磁器の違いを解説するなど、大人も楽しめる内容だ。一方、『学研の図鑑LIVE エクストリーム ティラノサウルス』は、1冊まるまるティラノサウルスをテーマにし、海外の有名な標本や体の構造、分類などマニアックな内容を追求している。

斎木さんによると、この変化を印象づけたのは2009年刊行の『くらべる図鑑』(小学館)のヒットだった。樹木と通天閣のように、あらゆる分野で速さや大きさを比べる内容が人気を博し、「親が与えたいものから、子どもがほしがるものに変化した」と指摘する。新版として生まれ変わった『小学館の図鑑NEO+ くらべる図鑑 新版』も、この流れを継承している。

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マルチメディア化の広がり

図鑑の進化は、音や映像との連携にも及んでいる。『日本の野鳥 さえずり・地鳴き図鑑』(メイツ出版)では、美しい鳥の写真とともにQRコードが掲載され、「デデーポッポ、デデーポッポ」といったキジバトのさえずりをスマートフォンで簡単に聞ける。かつて図鑑は音が聞けない弱点があったが、DVDの煩雑さをQRコードが解決した。

『小学館の図鑑NEO 音楽』では、世界各地の音楽や楽器を紹介し、リズムやメロディーだけでなく、現地での演奏の様子を収めた映像もQRコードからアクセス可能だ。また、『学研の図鑑LIVE』シリーズは「3D AR」を収録し、トラやタランチュラなどの生物が動く様子を上下左右から観察できる。斎木さんは、「スマホを持たない小さな子どもも、親が再生することで親子で楽しめる」とその利点を強調する。

印刷技術と撮影手法の革新

デジタル技術の進化は、印刷されたページにも反映されている。『講談社の動く図鑑MOVE 植物』では、黒い背景を採用することで、より細かい部分まで観察しやすくなった。生物の撮影手法も変化し、例えばチョウは、標本のように羽を広げた写真だけでなく、生きたまま撮影したものも増えている。これにより、本来の羽の広げ方がわかり、閉じている状態の写真も掲載されるようになった。

斎木さんは、「昆虫採集などで実際に見る姿と近く、図鑑で調べる時に、見比べやすくなった」と評価する。図鑑の選び方については、「とにかく、子どもの好きなものを与えてほしい。好きなものの図鑑なら夢中になれ、自然に学びが生まれます」とアドバイスする。親子で書店に足を運び、子ども自身が図鑑を選ぶことも、知的好奇心を育む近道となるだろう。

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