安くてボリュームのある「学食」が、高校から姿を消しつつある。少子化や物価高の影響で、業者の撤退が相次いでいる。手頃な価格で家計に優しい学食を残そうと、模索が続いている。
広島の高校で学食休止、再開も厳しい現実
昼休みのチャイムが鳴ると、広島市立基町高校の食堂に生徒が集まり始めた。メニューは日替わりの麺と丼の2種類で、どちらも400円(大盛り500円)と手頃だ。生徒たちは「栄養バランスがいい」「温かい物が食べられる」「クラス外の友達と集まれる」など、様々な理由で学食を利用する。
しかし、同校の学食は2023年に一度休止した。請け負っていた調理会社が経営難で事業を停止したためだ。広島県内では少なくとも7校が影響を受けた。会社側は食材費の高騰や人件費増加を背景に挙げている。
学校側は学食を求める声を受けて新たな業者を募集し、2025年6月に再開した。だが、運営会社の山谷将之社長は「想像以上に厳しい。安くてボリュームが必要となると、利益はほとんどない。少子化もあり、いつまで続けられるだろうか」と打ち明ける。
全国で6割の業者が赤字、学食存続の危機
日本学校給食経営協会の調査によると、高校の学食を運営する業者の約6割が赤字経営だという。少子化による生徒数の減少に加え、食材費や人件費の高騰が収益を圧迫している。特に地方では、採算が取れずに撤退する業者が後を絶たない。
一方で、学食には生徒の健康維持や経済的負担軽減、交流の場としての役割が期待されている。家庭の弁当代も高騰する中、安価で栄養バランスの取れた食事を提供する学食の存在意義は大きい。
生き残りをかけた秘策とは
こうした中、学食を存続させるための様々な取り組みが始まっている。ある学校では、地元のラジオ局と連携し、学食のメニューを紹介する番組を放送。広告収入を新たな収入源として期待する。また、調理の一部を簡略化して人件費を削減したり、地元産の食材を活用してコストを抑えたりする工夫も見られる。
さらに、生徒や保護者から学食の利用促進を図るため、ポイントカードや割引制度を導入する学校もある。業者と学校、地域が一体となって、学食を守る取り組みが求められている。
学食は単なる食事の場ではなく、生徒の成長を支える重要なインフラだ。その存続に向けた模索は、今後も続きそうだ。



