岐阜大学が研究報酬の上限撤廃へ 2026年度から新制度導入
岐阜大学(岐阜市)は2026年度から、国や企業など外部から獲得した研究費の金額に応じて研究者に支払う報酬額の上限を撤廃する新たな制度を導入する。報酬額の大幅な増加が見込まれるという。日本の大学は海外と比較して研究者の待遇が低いことが長年指摘されてきたが、この画期的な制度改正により、優秀な研究者の確保と研究成果の実用化の加速を図る方針だ。
新制度の詳細と従来との比較
外部から獲得する研究資金は、一般的に人件費や物品購入費など研究に直接関連する「直接経費」と、研究で利用する施設の維持管理などに必要な「間接経費」に大別される。直接経費は研究者に支給される一方、間接経費は大学に納められる仕組みとなっている。多くの国立大学では、この間接経費の一部を研究者の報酬に充てているのが現状だ。
岐阜大学関係者によると、同大学の従来の報酬制度では、研究資金の獲得額が多い一部の研究者に対して、20万円程度を上限として支給していた。しかし、2026年度以降は根本的に制度を変更し、各研究者が1年間で獲得した間接経費の総額に、最大20%の支給倍率を独自に掛け合わせて報酬額を決定する。
具体的には、報酬額の上限を完全に撤廃し、仮に研究者が1億円の間接経費を獲得した場合、2千万円が研究者の報酬となる計算だ。さらに、支給対象となる研究者の数も大幅に増加することが見込まれている。
背景にある研究環境の変化と大学の戦略
岐阜大学の外部資金は、糖鎖研究をはじめとする大型プロジェクトでの資金獲得が成功し、直近10年間で約1.5倍に増加し、現在では約30億円に達している。このような実績を背景に、さらなる研究力の強化を目指す動きが加速している。
一方で、国内外における優秀な研究者の獲得競争は年々激化している。国から国立大学に配分される運営費交付金は、2024年度分で20年前と比較して1600億円の減額となっており、外部からの研究資金をいかに獲得するかが、大学の存続と発展にとって極めて重要な課題となっている。
関係者の期待と今後の展望
この制度改正を主導する王志剛(ワンズガン)副学長は、「他大学にはない先駆的な取り組みではないかと考えている。制度改正によって、優秀で意欲の高い研究者が集まり、大学内での研究活動がより活発になることを期待している」と述べ、新制度への大きな期待を寄せた。
岐阜大学のこの大胆な改革は、日本の大学全体における研究者待遇の改善と、国際競争力の強化に向けた重要な一歩となる可能性を秘めている。2026年度の制度導入までには詳細な運用ルールの策定が進められ、実際の効果が注目される。



