近江鉄道が全線でICOCA導入、上下分離方式で長年の課題を解決
近江鉄道(滋賀県彦根市)は3月1日、全線でJR西日本の交通系ICカード「ICOCA(イコカ)」の導入を開始しました。長年にわたる赤字経営で設備投資が困難だった状況が、自治体が鉄道設備を保有する「上下分離方式」への移行によって打開され、この画期的な実現に至りました。
子ども用ICOCAで1乗車10円、西日本初の試みも開始
今回の導入では、JRとの乗り継ぎ利便性向上に加え、子ども用のICOCAでは1乗車につきわずか10円で乗車できる西日本初の取り組みもスタートさせました。これは利用者増加を目指す積極的な施策として注目されています。
31年ぶりの黒字達成が導入の後押しに
近江鉄道線は1994年度から赤字経営が続いていましたが、滋賀県と沿線10市町で構成される「近江鉄道線管理機構」が鉄道設備を保有する形で、2024年度から上下分離方式での運行を開始。同年度には31年ぶりに黒字を達成し、近江鉄道単独では困難だったICOCA導入に向けた準備を進めてきました。
駅の無人化と新たな乗車方法
3月1日からは、通常の紙の切符を廃止し、彦根、近江八幡、八日市、貴生川以外の駅は完全な無人駅となりました。新しい乗車方法は以下の通りです:
- 乗車時:駅の入場機にICOCAをタッチ
- 降車時:電車内または駅改札の出場機に再びタッチ
- 現金利用時:入場時に整理券を受け取り、降車時に精算
記念式典で未来への期待表明
導入初日には彦根駅で出発式が行われ、小学生9人がICOCAをタッチして改札を通り、記念列車に乗って彦根―米原駅を往復しました。近江鉄道の藤井高明社長は「お客様の動向をしっかり把握し、新たなサービス提供につなげたい」と語り、同機構の南川喜代和・代表理事は「『乗って残そう近江鉄道』との思いを共有してほしい」と利用者に呼びかけました。
この取り組みは、地方鉄道の持続可能性を高めるモデルケースとして、関西地域だけでなく全国から注目を集めています。ICOCA導入による利便性向上と、子ども向け割引といった利用促進策が、近江鉄道のさらなる発展につながることが期待されます。



