鉄道会社が自転車サービスを拡大、沿線活性化に新たな一手
鉄道会社が、自転車を通じて沿線地域に人を呼び込む取り組みを強化しています。ロードバイクの貸し出しサービスや、自転車をそのまま持ち込める列車の増加、さらにはサイクルツーリズムの環境整備など、多角的なアプローチが目立っています。これにより、鉄道の新たな需要を掘り起こすとともに、地域の活性化を図る狙いがあります。
JR東海の浜名湖拠点で経済効果1億円を達成
JR東海は昨年5月、浜名湖を望む弁天島駅(浜松市)前にサイクリングの拠点を設置しました。ここでは、ロードバイクや電動アシスト自転車など約60台をそろえ、1台数千円で貸し出しています。浜名湖周辺は高低差が少なく、飲食店や日帰り温泉施設が点在しているため、自転車での観光に適していると評価されています。
地元の観光協会と連携して周遊コースを提案するほか、周辺の飲食店で使えるクーポンも用意し、利用者の利便性を高めています。昨年12月までに約2400人がこの拠点を利用し、約半年で年間目標の2000人を上回りました。利用者が食事や買い物をすることで、年間1億円の経済効果があると見込まれています。
サイクルトレインの拡大と国交省の支援
自転車を分解せずにそのまま持ち込める「サイクルトレイン」も全国で増加しています。国土交通省によると、2024年度にサイクルトレインを実施した路線は145路線あり、4年前の1.5倍に拡大しました。観光客だけでなく、日常的に利用する人にとっても、通勤・通学や買い物の範囲が広がる利点があります。
国交省は、ローカル線の利用振興も期待できるとして、鉄道会社に費用の一部を補助しています。これにより、鉄道会社は自転車サービスをより積極的に展開できる環境が整いつつあります。
課題も残る実証実験の事例
しかし、すべての取り組みが順調に進んでいるわけではありません。神戸電鉄は昨秋、利用低迷に悩む粟生線(神戸市北区~兵庫県小野市)でサイクルトレインの実証実験を行いましたが、利用者は8日間で延べ24人にとどまりました。同社の担当者は、「沿線にはサイクリングロードもあり、ポテンシャルはあるはずだが、認知度に課題があった」と話しています。
このように、自転車サービスを成功させるには、地域の特性に合わせた戦略と、効果的なプロモーションが不可欠であることが浮き彫りになっています。
今後の展望とインバウンドへの期待
JR東海は昨秋、富士山に近い東海道新幹線の新富士駅(静岡県富士市)でもレンタサイクルの実証実験を実施し、常設化を視野に入れています。担当者は、「自転車観光は外国人の人気が高い。沿線にインバウンド(訪日客)を呼び込む新たな手段として力を入れたい」と意気込んでいます。
鉄道会社の自転車サービスは、単なる交通手段の拡充にとどまらず、地域経済の活性化や観光振興に大きく貢献する可能性を秘めています。今後も、各社の取り組みがどのように進化していくか注目が集まります。



