愛子さまの卒業文集「世界の平和を願って」 広島訪問の衝撃と核廃絶への思いが今も語り継がれる
2017年3月22日、天皇・皇后両陛下の長女である愛子さまが学習院女子中等科を卒業されました。この卒業式に合わせて宮内庁が公開した卒業文集の作文が、今も被爆地を中心に語り継がれています。題名は「世界の平和を願って」。修学旅行で訪れた広島での経験に基づき、核兵器のない世界の実現を切に願う内容がつづられています。
卒業式での笑顔と中等科生活の思い出
卒業式は東京都新宿区の学習院女子中等科で開催され、当時皇太子ご夫妻だった両陛下もご一緒に出席されました。式典前には、正門前で報道陣の記念撮影に応じるご一家の姿がありました。制服姿の愛子さまは、中等科生活の感想を問われると、笑みを浮かべてこう答えました。
「先生方とお友達に恵まれて、楽しい3年間をすごすことができました」
この言葉からは、充実した学校生活への感謝の気持ちが伝わってきます。一方で、卒業文集に寄せた作文では、より深い思索と平和への強い思いが表明されています。
広島修学旅行で受けた衝撃と核廃絶への願い
愛子さまは、3年生だった2016年5月に修学旅行で広島市を訪問。原爆ドームや広島平和記念資料館などを訪れ、そこで感じたことを作文につづりました。原爆ドームを目の前にした瞬間について、「突然足が動かなくなった」と記し、「写真で見たことはあったが、ここまで悲惨な状態であることに衝撃を受けた」と率直な感想を綴っています。
平和記念資料館では、焼け焦げた姿で亡くなった子供が抱えていた弁当箱や、放射能による人体への被害についての展示に直面。「これが実際に起きたことなのか」と目を疑うほどだったといいます。そして、「何よりも、原爆が何十万人という人の命を奪ったことに、怒りと悲しみを覚えた」と強い感情を記しました。
作文の結びでは、次のような力強いメッセージが述べられています。
- 「唯一の被爆国に生まれた私たち日本人は、自分の目で見て、感じたことを世界に広く発信していく必要がある」
- 「いつか、そう遠くない将来に、核兵器のない世の中が実現し、広島の『平和の灯』の灯が消されることを心から願っている」
被爆地で今も話題にのぼる作文と平和への思いの継承
この作文は、広島をはじめとする被爆者の間で今も話題にのぼり続けています。広島平和記念資料館の元館長である原田浩さんは、2025年の取材に対し、愛子さまの作文を読んだ印象を次のように語りました。
「祖父母、両親から平和への思いを受け継いでいる」
原田さんは、上皇ご夫妻や両陛下が同館を訪れた際の案内役も務めた経験から、皇室全体が平和への取り組みを重視していることを実感しており、愛子さまの作文にもその精神がしっかりと受け継がれていると感じたのです。
愛子さまの作文は、単なる学校の課題を超えて、戦争の悲惨さと平和の尊さを考える重要なメッセージとして、多くの人々の心に響いています。被爆地での経験を自らの言葉でつづり、核兵器廃絶への願いを表明した姿勢は、未来を担う世代としての責任感と深い洞察力を示しています。
この作文が公開されてから数年が経過した今でも、その内容は広島を中心に語り継がれ、平和教育の一環としても注目を集め続けています。愛子さまが両陛下から受け継いだ平和への思いは、こうした形で確実に次世代へと引き継がれているのです。



