滋賀県甲賀市の信楽高原鉄道(SKR)の車窓から楽しめる田んぼアート「うしかい田んぼアート」が、担い手の高齢化により今季から当面休止することが決まった。このアートは、異なる色の稲を使って巨大な絵や文字を浮かび上がらせるもので、11年間にわたり多くの観光客や地元住民の目を楽しませてきた。
田んぼアートの歴史と軌跡
田んぼアートは、2013年9月の台風18号による鉄橋崩落でSKRが運休したことを受け、2014年11月の運行再開を機にSKRの利用促進を目的として2015年からスタートした。地元団体などで構成される実行委員会が主催し、毎年田植え体験会を開催。市内外から多くの参加者が集まり、交流の場として機能してきた。これまでに累計3000人以上が携わり、2021年以降は地元の信楽高校と甲南高校の生徒がデザイン制作や田植え、稲刈りなどに協力。旅行会社が田んぼアートを鑑賞するツアーを組むこともあった。
休止の理由:高齢化と暑さ
実行委員会の主要メンバーは約30人で、平均年齢は70歳を超える。年々暑さが厳しくなる中、色苗の配置の目印となる竹筒を打ち込む「ピン打ち」や手植えなどの作業が身体的に困難になってきた。若い世代も仕事を抱えており、手伝いが難しい状況だという。
過去の作品と反響
初回は信楽町観光協会のマスコット「ぽんぽこちゃん」をオレンジや赤など5種類の苗で表現。2024年は紫や白、オレンジなど6種類の苗を使い、甲賀市らしく忍者姿のタヌキを描いた。昨年は「わたSHIGA輝く国スポ・障スポ」のマスコット「チャッフィー」が題材となった。これらの作品は鉄道の車窓から美しく眺められ、多くの乗客に喜ばれた。
今後の展望
実行委員会副代表の山田康広さん(76)は「市内の大きなイベントに成長していただけに休止は寂しいが、皆さんが喜んでくれたのでやってきて良かった」と話す。山田さんは貴生川まちづくり協議会長も務めており、今後は貴生川駅周辺整備事業に向け、同協議会を8月に一般社団法人化し、まちづくりに一層注力する予定だ。



