今回の台風では、気象庁が新たに導入した防災気象情報に基づいて、各地の自治体が避難指示を発令した。この情報は5段階のレベルで危険度を示すもので、わかりやすさを評価する声がある一方で、避難行動に結びついていない地域も目立った。
八丈町では準備が功を奏す
伊豆諸島の東京都八丈町では、3か所の避難所に住民40人以上が避難した。気象庁から「レベル4土砂災害危険警報」発表の可能性が伝えられたことを受け、町は2日の日中に避難所を開設し、高齢者らが明るい時間帯に移動できるよう配慮。同日午後4時頃に避難指示を出した。結果的に危険警報は発表されなかったが、町の担当者は「災害種別や数字で危険度を把握できるのはわかりやすく、準備につなげられた」と評価した。
気象庁の新たな防災気象情報
気象庁は新たな防災気象情報で、5段階のレベルを名称に含め、災害の種類にかかわらず、レベル3は高齢者らが避難、レベル4は全員が避難することを求めている。しかし、実際には「レベル4」が発表されても避難所に訪れる人は限られている。
杉並区では避難者わずか30人
東京都杉並区では、区内を流れる複数の川が一時氾濫発生水位に迫り、「レベル4氾濫危険警報」が発表された。区はほぼ全域に避難指示を出し、計9か所の避難所を開設したが、避難者は最大で30人にとどまった。警報が解除される前に区内のJR荻窪駅近くへ買い物に出かけた女性(45)は、テレビでレベル4が避難指示を表すことを知っていたが、「自宅が川の近くになく、危なくないと思って避難しなかった」と話した。
品川区でも避難者は10人
「レベル4大雨危険警報」が発表された品川区も全域に避難指示を出していたが、区内17か所の避難所に避難したのはわずか10人だった。区は、自宅などの上層階への垂直避難も選択肢として示している。
専門家の指摘
東京大学の関谷直也教授(災害情報)は、「自主的な早めの避難行動を促す情報として十分に浸透していないので、引き続き周知を図るべきだ」と指摘する。特に自治体全域を対象とした大雨危険警報については、「河川氾濫や土砂災害の危険警報と違い、住民が危険をイメージしにくい。気象庁と自治体で対応を検討する必要がある」と述べた。



