三重県内の私立高校(全日制)で2026年度、入学手続きをした生徒数が少なくとも2016年度以降で初めて募集定員を上回った。一方、県立高校(同)の入学者は1万人を割り込み、充足率は96.0%で、現在の入試方式となった2008年度以降で最低となった。高校授業料無償化の拡大が私立人気を高めたとみられ、公私で明暗がはっきりと分かれる結果となった。県私学協会や県教育委員会への取材で明らかになった。
私立高校の状況
県私学協会の発表によると、私立高校のうち県外からの入学が多い2校を除いた11校の募集定員は計3565人。協会によると、入学手続き者数はこの定員を上回った。具体的な人数は「詳しい集計中」として明らかにされていないが、実際の入学者数は若干減少する可能性があるものの、充足率は100%を超える見通しだという。
受験者数や合格率には例年と大きな差はなく、「私立を選んでくれる生徒が増えた」と協会の担当者は説明する。無償化拡大により、私立進学に伴う経済的な不安が軽減された可能性が指摘されている。
県立高校の状況
県立高校の入学者数は4月15日時点で9597人で、前年度より約460人減少した。募集定員は前年度比240人減の1万人に設定されたが、それ以上に入学者が減少した。定員割れは全53校のうち30校に達し、前年度の12校から倍以上に増加した。
過去に無償化が拡大された際にも私立の入学者は一時的に増加したが、数年後には落ち着いた経緯がある。県教育委員会の大屋慎一副教育長は「長期的に見ないと影響は分からない」と述べつつ、「今回のことを契機に特色化や魅力化をさらに進め、選ばれる公立を目指す」と語った。
高校授業料無償化の変遷
高校授業料の無償化は、家庭の教育負担を軽減するため2010年度に開始された。全日制では、2024年度までは年収910万円未満の世帯を対象に、全生徒に年11万8800円の就学支援金が支給されていた。私立高校生の場合は年収590万円未満の世帯に加算があり、計39万6000円が支給されていた。2025年度に所得制限が撤廃され、全生徒に11万8800円が支給されるようになった。さらに2026年度には、私立高校への支給額が一律45万7200円に引き上げられた。



