デジタル教科書導入、紙重視の現場意見を反映せよ
デジタル教科書導入、紙重視の現場意見を

多くの課題が未解決のまま、新しい教科書制度が始動することとなった。授業を担う教員の声を尊重し、子どもたちの真の学びにつなげる必要がある。

デジタル教科書の法制化と今後のスケジュール

デジタル教科書を正式な教科書として位置づける改正学校教育法などの関連法が、参議院本会議で可決・成立した。文部科学省は今年秋にも、デジタル教科書を導入する学年や教科などを定める大臣指針を策定する方針だ。

教科書の形態は「紙のみ」「紙とデジタルのハイブリッド」「完全デジタル」の3種類から、各地の教育委員会が選択する仕組みとなる。新制度は2030年度以降、小学校から順次導入される見通しである。

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デジタル教科書の課題と現場の懸念

デジタル画面での学習は、紙に比べて拾い読みや流し読みといった「浅い読み」になりやすいとされる。記憶の定着においても紙が優位との研究結果があり、海外では紙への回帰も進んでいる。また、姿勢や視力への影響など健康面での不安も指摘されている。

明治以来続いてきた紙の教科書を変更し、自治体に選択を委ねるという大きな転換でありながら、国会での審議が深まらなかったことは遺憾である。松本文科大臣はデジタル教科書の課題について「適切な形の教育を施すよう検討したい」と曖昧な答弁に終始した。

教育は「国家百年の計」と言われる。一度誤った方向に進めば、取り返しがつかない。

現場の声:紙中心の学びを望む校長の意見

読売新聞が全国の小学校長を対象に実施したアンケートでは、小学1・2年生の場合、「紙のみ」または「紙中心」の教科書を希望する割合が9割を超えた。小学3・4年生でも8割に上り、学校現場が紙中心の学びを強く望んでいることが明らかとなった。

デジタル化に伴い、「書く時間が減る」「1日中デジタルにさらされる」といった懸念の声も多く聞かれた。保護者の多くは、学校にいる間くらいはデジタル機器から離れてほしいと願っているはずだ。

文科相の見解と今後の方向性

松本文科大臣は、小学4年生以下の全教科に加え、小学5年生以上でも国語、社会、道徳では完全デジタルの教科書を認めない考えを示した。現場では紙とデジタルのハイブリッドが主流になるとみられる。紙を中心とし、デジタルは補完的な役割にとどめるべきである。

新しさに目を奪われ、伝統的な学びの良さを見失っては元も子もない。文科省は「せっかく作るのだから」とデジタル活用を過度に推進すべきではない。

教科書を選択する各教育委員会も、学校現場の声に耳を傾け、学年や教科に適した最適な教科書を選ぶことが求められる。

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