麻疹感染が全国で急拡大 海外からのウイルス流入が主要因
麻疹(はしか)の患者が増加の一途をたどっている。麻疹は高熱や発疹を伴う感染力の極めて強い感染症として知られ、社会全体で拡大を防ぐことが緊急の課題となっている。
患者数は152人に達し、2019年以来の速いペース
今年に入ってから3月22日までの期間、全国で確認された麻疹患者は合計152人に上っている。これは過去10年間で最も患者が多かった2019年に次ぐ、非常に速いペースでの増加を示している。
都道府県別では東京が最多、愛知では高校で集団感染
都道府県別の状況を詳細にみると、東京が最も多く、すでに昨年1年間の患者数を上回っている。次いで愛知県では高校での集団感染が確認され、警戒が強まっている。その他、千葉県や神奈川県、埼玉県、大阪府など大都市圏においても患者の報告が目立っており、都市部を中心に感染が広がっている実態が浮き彫りになっている。
増加の要因は海外からのウイルス流入
今回の感染拡大の主な要因として、海外から帰国した人々や訪日外国人客の増加に伴い、国外から持ち込まれたウイルスが国内で広がったことが指摘されている。日本は2015年に麻疹を「排除した国」として世界保健機関(WHO)に認定されたが、最近では世界的に麻疹が流行しており、英国やカナダなど排除の認定を取り消された国も現れている。
感染力が極めて強く、空気感染も可能
麻疹は接触感染やせきなどの飛沫による感染だけでなく、空気感染でも広がる特徴を持つ。免疫を持たない人は感染者と同じ部屋にいただけで感染する可能性があり、感染力の強さが際立っている。感染者が電車に乗車したりスーパーを利用したりして不特定多数の人と接触した場合、特に注意が必要だ。自治体にはそうした情報を迅速に公開することが求められる。
高熱や発疹が疑われる場合は事前の相談が肝心
高熱や発疹など麻疹の感染が疑われる症状が出た場合、あらかじめ医療機関に電話で相談し、その指示に従って受診することが極めて重要である。麻疹には特効薬が存在しないため、予防が何よりも大切だ。
ワクチン接種で予防可能、免疫の確認も重要
麻疹はワクチン接種によって感染を予防することが可能だ。日本では2000年4月以降に生まれた人に対して、1歳時と就学前の計2回の定期接種の機会が設けられているため、若い世代の多くは十分な免疫を持っていると考えられる。また、過去に麻疹にかかったことがある場合も免疫が持続する。
一方で、麻疹にかかった経験がなくワクチンの接種歴もない人は感染リスクが高く、ワクチンを1回しか受けていない場合も免疫が不十分な可能性がある。心配な人は医療機関で抗体検査を受け、免疫の有無を確認する方法もある。
決して侮れない病気、重症化のリスクも
麻疹はかつて国内で繰り返し流行したことから軽視されがちだが、過去には命を落とす例も少なくなかった。現在でも麻疹が重症化して脳炎を引き起こす割合は1000人に1人とされており、命に関わる決して侮れない病気であることを改めて認識する必要がある。
社会全体で感染拡大を防ぐためには、ワクチン接種の徹底や適切な情報共有、疑わしい症状が出た際の迅速な対応が不可欠だ。一人ひとりが予防意識を高め、拡大防止に努めることが求められている。



