PFAS検査「3か月に1回」義務化で自治体負担増、1検体数万~10万円の費用が重荷に
PFAS検査義務化で自治体負担増、1検体数万~10万円の費用

PFAS検査義務化で自治体に重い財政負担、1検体数万~10万円の費用が課題に

発がん性が指摘される化学物質「PFAS」の一部が今月から水道法上の水質基準に正式に加わり、全国の自治体や水道事業者に対して定期的な水質検査が義務付けられました。この新基準では、おおむね3か月に1回の検査実施が求められており、検査で基準値を超えるPFASが検出された場合には、取水停止や除去施設の導入など迅速な対応が義務付けられています。

高額な検査費用が自治体財政を圧迫

PFASの検査には高度な分析機器を持つ専門機関への委託が必要で、1検体当たり数万円から10万円前後という高額な費用がかかります。従来の水質検査では水銀やヒ素など51項目をまとめて検査しても1検体10万~20万円前後だったことから、PFAS単独での検査費用が突出している状況です。

大分県国東市の担当者は「人口減少が進む地域では、検査費だけでも大きな負担だ」と嘆きます。同市では今年度、PFAS検査費だけで300万円を超える支出を見込んでおり、老朽化した水道管の耐震化工事も控えていることから財政的な圧迫が懸念されています。

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除去施設導入でさらに巨額の費用が発生

検査で基準超過が確認された場合、自治体は取水を停止するか、除去施設を導入して水質を改善しなければなりません。除去施設の導入には数千万円から数億円という巨額の費用が追加でかかるため、多くの自治体で水道料金の値上げが避けられない状況です。

実際に、浄水場にPFAS除去施設を導入した沖縄県では2024年10月以降、一部の自治体で水道料金の引き上げが実施されています。国東市の担当者は「基準超過が見つかって除去施設を導入することになれば、水道料金の値上げは避けられない」と危機感をあらわにしています。

政府の財政支援も限定的、専用水道は対象外

政府は今年度から、PFAS検査によって水道経営が困難になる小規模自治体や民間水道事業者を対象に検査費用の財政支援を開始しました。除去施設の整備に対する補助金についても要件を緩和し、大規模自治体も対象に含める方針です。

しかし、これらの支援や補助は全体の費用の一部にとどまり、自治体や事業者の自己負担は避けられません。さらに、病院などが地下水をくみ上げて自家用で使う「専用水道」は、「法的な水の供給義務がない」との理由で同等の支援を受けることができません。

全国に約8,100か所ある専用水道のうち、昨年8月末までに自主的な検査が行われたのは約4,400か所(約54%)にとどまっており、多くの施設でPFASへの対応が遅れています。コスト面が主な理由で、検査で汚染が確認されても対策を講じられない専用水道も存在します。

汚染源特定の難しさと今後の課題

環境汚染が生じた際の対策費用は、原則として汚染させた側が負担することになっています。しかし、PFASを巡っては、各地で目標値を超える汚染が相次ぎながらも、地下水脈の複雑さなどから汚染源の特定に至ったケースはほとんどありません。

京都府立大学の原田浩二教授によると、海外では汚染源が特定できなくても、PFASの製造・使用に関わった事業者などに資金を拠出させて基金を作り、浄化費用などを賄う制度作りが検討されています。原田教授は「国内でも、水道事業者の負担をより緩和する枠組みの構築に向け、議論を進めるべきだ」と指摘しています。

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PFASとは

PFASは1万種類以上ある有機フッ素化合物の総称で、熱に強く、水や油をはじく性質を持っています。かつては泡消火剤などに広く使われていましたが、2010年以降、特に有害な一部の物質の製造・輸入が順次禁止されました。世界保健機関(WHO)は2023年、PFASの一部について「発がん性がある」と分類しましたが、どの程度摂取したら人体に影響が出るかは明らかになっていません。現在のところ、国内で健康被害は確認されていません。