温暖化で加速する桜の開花、弘前の春の風景が変わる
青森県弘前市の桜の名所、弘前公園で、桜の開花が年々早まっている。2026年4月11日にはソメイヨシノが平年より11日も早く開花し、これは2023年の7日に次ぐ過去2番目に早い記録となった。市の最新予想では、満開は平年より10日早い4月17日頃と見込まれている。
戦後最長のさくらまつり、しかし見ごろは短縮
例年200万人以上が訪れる「弘前さくらまつり」は、今年は4月10日に開幕した。開幕が早まったことで、会期(10日~5月5日)は戦後以降で最長となった。しかし、満開後の花吹雪も名物だが、4月下旬には見ごろを終えてしまう見込みだ。
弘前では1980年代まで、5月に桜の満開を迎え、ゴールデンウィーク(GW)と見ごろが重なることが多かった。ところが近年は、地球温暖化による春の気温上昇などの影響で、満開が4月中になることが増加。5月の満開は2013年を最後に記録されていない。
GWの集客課題と「代役」桜の登場
気象情報会社ウェザーニューズの「一度は行ってみたい桜名所」で4年連続1位に選ばれるなど知名度は高い弘前公園だが、GWには「主役」のソメイヨシノが葉桜になることが増え、GW期間中の集客が大きな課題となっている。
園内で営業する「三浦食堂」のおかみ、三浦さつ江さん(94)は「昔はGWがかき入れ時だった」と懐かしむ。別の飲食店「鳴海商店」の富田英人さん(50)は「いずれ3月に開花する時代が来るかもしれない。会期の短縮を議論してみては」と懸念を口にする。
こうした状況を受け、弘前市はソメイヨシノの「代役」として、「八重紅枝垂(やえべにしだれ)」「弘前雪明かり」「関山」など7種類の桜に期待を寄せている。これらはソメイヨシノより後に咲く「弘前七桜」として売り出し始めた。満開予想は4月下旬で、いずれも満開の状態が5~7日程度続くという。
市公園緑地課は「遅咲きの桜のリレーも楽しんでほしい」とアピール。52種類、2600本の桜が咲き誇る弘前公園で、新たな春の楽しみ方を提案している。
訪れる花見客の声と今後の展望
さくらまつり初日には、北海道から訪れた会社員の安井貴朗さん(37)が「少しだが咲いていてよかった。きれいです」と笑顔を見せた。早まる開花に合わせ、計画を急きょ1週間早めて開催されたまつりには、多くの花見客が詰めかけている。
弘前の桜をめぐる環境の変化は、気候変動の影響を如実に示す事例となっている。市は伝統的なソメイヨシノに加え、遅咲き品種の魅力を発信することで、変化する春の風景に対応し、観光集客の維持・拡大を図ろうとしている。今後の桜の開花時期のさらなる早期化も懸念されるなか、弘前の春の祭典は新たな段階を迎えている。



