愛知県の深刻な水不足、宇連ダムの貯水率はわずか5.8%に留まる
愛知県を襲っている深刻な渇水問題において、主要水源である宇連ダム(新城市)の貯水率が、3月31日のまとまった降雨によってわずかながら回復したことが明らかになりました。しかし、依然として貯水率は極めて低い水準に留まっており、県は農業関係者に対し緊急の対応を求めています。
大村知事が田植え時期の延期を正式に要請
大村秀章知事は3月31日の記者会見で、豊川用水の深刻な水不足を受けて、東三河地域の農業協同組合(JA)および土地改良区に対し、田植え時期の延期を依頼したことを正式に表明しました。この要請は3月27日付の文書で行われており、具体的な延期期間については「当面の間」とされていますが、詳細な日程は未定のままです。
大村知事は会見で「豊川用水を利用して水田に水を張り、田植えを行う作業については、一時的に見合わせていただきたい」と述べ、関係者の理解を得ていることを強調しました。同時に、静岡県境に位置する天竜川水系の佐久間ダムからの緊急導水については、31日時点での開始を見送り、今後の貯水状況を注視しながら判断する方針を示しています。
農家への実践的な対応と現実的な課題
豊川総合用水土地改良区(豊橋市)によれば、県からの要請を受け、JA豊橋の店舗では苗を購入に訪れた農家に対して、田植えを遅らせるよう呼びかける対応を実施しています。この土地改良区は、東三河地域の5市に農業用水を供給する重要な役割を担っています。
しかし、実際に田植えを延期するか否かは、各農家の自主的な判断に委ねられる部分が大きく、現場では複雑な事情が浮き彫りになっています。土地改良区の担当者は「育ちすぎた苗は、田植え機で植えることが技術的に難しくなる」と指摘し、「すでに苗を購入した農家に対して延期を求めることは、現実的には非常に難しい状況にある」と語りました。
豊橋市では、4月1日から一部地域で水田への通水が開始される予定であり、田植えを始める農家が水を張る動きが出始めています。このため、県の要請と農家の実際の行動の間に、若干の乖離が生じる可能性が懸念されています。
宇連ダムの貯水率は依然として危機的水準
豊川用水をめぐる状況は、3月31日の降雨によって一時的に改善の兆しを見せました。宇連ダムの貯水率は同日午後6時時点で5.8%、同じく主要水源である大島ダムは10.7%となり、前日と比較してわずかながら上昇しました。しかし、これらの数値は依然として極めて低く、水不足が解消されたとは言い難い状況が続いています。
愛知県では、今後も貯水率の動向を注視しながら、農業用水の適切な管理と配分に努めるとともに、農家への支援策を検討していく方針です。渇水対策が喫緊の課題となる中、県と農業関係者の連携がより一層求められることになります。



