岩手県が11年ぶりにレッドデータブックを改訂 絶滅危惧鳥類の現状を詳細に報告
絶滅の危機に瀕する生物をランク付けした「レッドリスト」と、その解説書である「レッドデータブック」は、国際自然保護連合(IUCN)による世界的なものから、環境省の日本全体のもの、さらには各都道府県が作成する地域的なものまで、多様な公的機関によって数年間隔で更新されています。
岩手県では、2025年に新しいレッドデータブックが発刊され、前回の改訂から実に11年ぶりの更新となりました。今回の改訂では、特に鳥類の状況に注目が集まっています。
鳥類のリストが拡大 14種が新たに追加される
岩手県の絶滅危惧鳥類は、前回の99種から7種増加し、106種となりました。しかし、これは単純な増加ではなく、14種が新たにリストに加わった一方で、7種が削除された結果です。
新たに追加された種には、環境省のリストでは高いランクに位置づけられているにもかかわらず、県ではこれまで掲載されていなかったシジュウカラガンやアホウドリが含まれます。また、かつては多く観察されたものの、近年になって個体数が激減しているゴイサギなども追加されました。
一方、削除された種としては、生息数が十分に回復したと判断されたマガンやオオバン、迷鳥としての扱いが適切とされたヤツガシラなどが挙げられます。
絶滅の危険性が高まった13種 生息環境の変化が影響
さらに、13種の鳥類については、絶滅の危険性が増したとして、より高いランクに引き上げられました。これには、草原環境に生息するコヨシキリなどの種や、農耕地や市街地を生活の場とするケリやチゴハヤブサなどが該当します。これらの変化は、生息環境の悪化や人間活動の影響を反映していると考えられます。
イヌワシの特別な危機 ランク設定に苦慮
今回の改訂で特に扱いに悩んだのが、イヌワシでした。日本全体でわずか150つがい、岩手県内でも約30つがいしか生息していない、最も代表的な絶滅危惧種の一つです。
当然ながら最高ランクに位置づけられていますが、同じ最高ランクの他の鳥類と比較しても、イヌワシの絶滅の危険性は格段に高いと評価されました。このため、イヌワシ専用のさらに上位のランクを設けるべきか、あるいは他の鳥類のランクを下げるべきか、検討が重ねられました。
結果として、イヌワシも他の鳥類と同じ最高ランクに留めることとなりましたが、報告書では「イヌワシはやはり別格である」と明記され、その特別な危機的状況が強調されています。
県立博物館でテーマ展を開催 絶滅危惧種の現状を学ぶ機会
岩手県立博物館では、この新しいレッドデータブックを基にしたテーマ展「岩手の絶滅危惧種とネイチャーポジティブ」を、5月24日まで開催中です。展示では、絶滅危惧種の標本を多数展示し、その現状を分かりやすく解説しています。
博物館の生物部門を担当する高橋雅雄氏は、「多くの方に実際の標本を通じて、岩手の自然環境とそこに生きる種の危機を実感していただきたい」と語っています。この機会に、地域の生物多様性と保全の重要性について考えてみてはいかがでしょうか。



