成田空港滑走路延伸計画、用地取得難航で土地収用法適用を検討
成田空港(千葉県)で進められている滑走路の新設・延伸工事において、用地取得が思うように進まず、成田国際空港会社(NAA)が強制的な取得を可能とする土地収用法の適用に向けた手続きを進めることを検討していることが、複数の関係者への取材で明らかになった。NAAは地元の理解を得た上で最終的な判断を下す方針を示している。
藤井社長が国土交通相に意向伝達
NAAの藤井直樹社長は2日、金子国土交通大臣と面会し、用地取得の選択肢の一つとして、土地収用法に基づく強制的な取得を検討していることを伝えた。これは、インバウンド(訪日外国人)や物流など、増加する航空需要に対応するための大規模な空港整備計画の一環であり、既存のB滑走路(2500メートル)を1000メートル延伸し、新たにC滑走路(3500メートル)を新設する工事が進行中だ。旅客ターミナルや貨物地区の集約と合わせ、「第2の開港」とも呼ばれる国家プロジェクトである。
用地確保率は88・4%で供用開始遅れの懸念
しかし、用地確保率は2026年2月20日現在で88・4%にとどまっており、当初予定されていた2029年3月末の供用開始が遅れる見通しとなっている。この遅延を最小限に抑えるため、NAAは地権者との丁寧な交渉を継続しつつも、土地収用法の適用を視野に入れた対応を模索している。
成田闘争の歴史的背景と慎重な対応
成田空港では、1978年の開港前に国側と反対派が激しく対立した「成田闘争」があり、多くの死傷者を出した経緯がある。こうした歴史的背景から、NAAは強制的な手段に踏み切る前に、地元との丁寧な協議を重ね、社会的な合意形成を図る姿勢を強調している。土地収用法は、公共事業などのために国や自治体が私有財産である土地を強制的に取得することを定めた法律で、事業認定や補償額の決定など、厳格な手続きが要求される。
この動きは、航空需要の拡大に伴うインフラ整備の緊急性と、私有財産の尊重や地域コミュニティとの調和という課題の狭間で、難しい判断を迫られている現状を浮き彫りにしている。今後の展開に注目が集まっている。



