データセンター建設を巡り住民訴訟が相次ぐ、法的定義の見直し求める声高まる
千葉県印西市の駅前データセンター(DC)建設をめぐり、隣接マンションの住民らが5日、県の指定機関が行った建築確認は違法だとして、取り消しを求める訴訟を千葉地裁に起こした。原告らは、DCの実態が市の地区計画で建築が認められていない工場や倉庫であると主張。同様の訴訟が白井市のDC建設についても提起されており、建築基準法上の定義の見直しが焦点となっている。
住民側の主張:DCは「事務所」ではなく「工場」や「倉庫」
訴えを起こしたのは、「タウンセンター地区の活用について考える会」の谷川宗和さん(53)ら10人。訴状によると、建築確認の検査機関として県から指定された「日本ERI」(東京都)は1月27日、駅前DCについて、建築基準法に適合しているとして建築確認の処分を出した。しかし、原告側は、非常用発電機などを備え、大量の重油を貯蔵するDCの実態は工場であり、データや機器を保管する観点からは倉庫に該当すると主張。建築基準法に基づいて市が定めた駅前地区の地区計画では建築が認められておらず、建築確認は違法で、取り消さなくてはならないとしている。
谷川さんらは5日に千葉市中央区の県弁護士会館で記者会見し、「駅前や住宅地にDCを建てることができる状況にあるのは、建築基準法で適切に区分されていないためだ。行政の慣例として『事務所』などと扱われてきた。法の未整備を放置しないでほしい」と語った。被告の日本ERIは「訴状が届いてから対応を検討する」としている。
白井市でも同種の訴訟が進行、近隣住民が生活被害を訴える
原告代理人の及川智志弁護士(60)は、白井市のDC建設計画についても、原告として市を相手取り、事業者への開発行為の許可取り消しを求める訴訟を起こしている。2月27日には千葉地裁で第1回口頭弁論が開かれた。及川氏や近隣住民は同日の記者会見で、「工事が始まって振動で家が揺れ、土ぼこりで窓が開けられなくなっている」と生活被害を訴えた。
建築基準法の未整備が背景、デジタル時代の需要増加で問題が顕在化
1950年施行の建築基準法には近年登場したDCの記述はなく、立地の規制が緩い「事務所」として建設されることが多い。デジタル時代の社会基盤としてDCの需要は高い。地盤が強固で、東京にも近い印西市や白井市に相次いで進出してきた。しかし、開発が進むにつれ、首都圏に建設に適した場所は減少。住宅街に近接した場所に建設が計画され、住民が反発する事態が増えた。県内では柏市や流山市、東京都内では昭島市、日野市などで反対運動が起きている。
及川氏は二つの訴訟について、「最大の争点はDCの定義は何かということ。法の不備で多くの人が苦しんでいる。時代に即し、建築基準法にDCの定義を明記すべきだ」と訴えている。この問題は、急速に進むデジタル化と都市計画のバランスを問う重要な課題として注目を集めている。



