おしゃれと安全を両立させる福井県庁の画期的な取り組み
2026年4月から福井県立高等学校における自転車通学時のヘルメット着用が義務化されることを受け、福井県庁の若手職員らが中心となって結成された「H.E.A.D(ヘッド)」チームが、美容専門学校生や高校生と協力し、ヘルメットを着用しても崩れにくいヘアアレンジを考案しました。この取り組みは、動画やカタログを通じて広く発信されており、若い世代のヘルメット着用率向上に貢献することが期待されています。
高校生の低い着用率が課題に
2023年4月の改正道路交通法施行により、すべての自転車利用者に対してヘルメット着用が努力義務化されました。福井県内全体の着用率は2025年時点で27.1%と全国10位と比較的高い水準を維持していますが、高校生に限ると状況は一変します。県教育委員会が2024年11月に実施した調査によれば、県立高校生のヘルメット着用率はわずか3.4%に留まっており、深刻な課題として浮き彫りになりました。
若手職員が立ち上がり、着用率向上に取り組む
H.E.A.Dチームは、20代から30代の若手職員を中心に2024年に結成されました。最初の目標として県職員自身のヘルメット着用率向上を掲げ、毎月の出勤時間帯に声かけ活動などを実施。その結果、県職員の着用率は昨年までに77.8%まで大幅に向上する成果を上げています。しかし、特に若い世代からは「髪形が崩れる」という理由でヘルメット着用への抵抗感が根強く残っている現状があります。
この課題に対し、チームは「ヘルメットを着用しても、おしゃれはできる」というポジティブなメッセージを発信することを決断。県理容美容専門学校の学生2名と県立福井商業高等学校の生徒6名の協力を得て、昨年の冬にヘアアレンジに関する動画とカタログを作成しました。
実用的で簡単なヘアアレンジを動画で紹介
作成された動画は、「おしゃれも安全もどっちも大事」という掛け声で始まります。専門学校生が考案したヘアアレンジを、手順を一つずつ丁寧に解説しながら実演する形式で構成されており、視聴者が自宅で簡単に真似できる内容となっています。高校生向けには、校則への配慮も怠りません。整髪料を使用せず、ヘアピンのみで完成させるシンプルなアレンジも紹介され、実用性の高さが特徴です。
H.E.A.Dチームの中心メンバーであり、危機管理課に所属する松本春奈さん(25歳)は、「この動画をきっかけに、高校生の皆さんにもヘルメットを着用する習慣を身につけてもらえたら嬉しいです」と語り、取り組みへの熱意を表明しています。動画は福井県の公式ホームページや県民安全課のYouTubeチャンネルなどで公開されており、広くアクセス可能です。
高校生向けの講習会も開催、着用率向上へ本格始動
さらに、高校生のヘルメット着用率向上を目指し、鯖江市の福井高専では2026年2月19日、髪形の崩れを直す方法を学ぶ講習会が開催されました。自転車通学する約80名の学生が参加し、軽量ヘルメット100個が鯖江ロータリークラブから寄贈されるなど、地域全体で支援する姿勢が示されました。
講習会では、鯖江警察署の署員が「ヘルメットを着用しない場合、頭部を損傷し命に関わる事故につながる可能性があります。人生を守るための道具として、ぜひ着用してください」と強く呼びかけました。その後、地元の美容師が講師を務め、学生をモデルに崩れた髪形の直し方を実演。「手に水をつけて崩れた部分を軽くたたくと良いですよ」「髪を立ち上げたいときは、首を傾けてタオルを使う方法を試してみてください」など、具体的なアドバイスが提供されました。
機械工学科1年生の生徒(16歳)は、「これまでヘルメットを着用していませんでしたが、その危険性を理解しました。整髪料をつけた状態でヘルメットをかぶると髪が崩れやすいと聞いたので、これからは気をつけようと思います」と感想を述べ、意識の変化を語りました。
福井県庁の若手職員らによるこの取り組みは、単なる安全対策に留まらず、おしゃれと安全を両立させる新たな文化を創造する試みとして、全国的に注目を集めています。今後も動画の拡散や講習会の継続を通じて、高校生を中心とした若い世代のヘルメット着用率向上が期待されます。



