荒川区が初の行政代執行 倒壊危険空き家を解体 所有権者不明で近隣苦情受け
荒川区初の行政代執行 倒壊危険空き家解体 所有権者不明

荒川区が初の行政代執行を実施 倒壊危機の空き家を解体

東京都荒川区は16日、区内で倒壊の恐れがある空き家の解体工事を開始した。これは、危険な空き家への対策を定めた特別措置法に基づき、区が所有者に代わって工事を行う行政代執行による措置であり、同区では初めての事例となった。

老朽化した空き家の詳細と近隣の苦情

対象となった空き家は、南千住1丁目にある平屋の木造住宅で、面積は約27平方メートル。柱や壁が傾き、隣家にもたれかかるような状態になっており、ネズミやハクビシンなどの動物が住み着いていることも確認されている。昨年夏以降、近隣住民から区に対して、以下のような苦情が相次いでいた。

  • 屋根の一部が飛散する危険性
  • ネズミの発生による衛生問題
  • 夏場の悪臭

近所に住む57歳の女性は、「ずっと空き家で不安だった。早く取り壊してほしいが、空き地になった後の雑草の伸びも心配だ」と語り、複雑な思いを明かした。

所有権者不明による行政代執行の決定

区は昨年12月、この空き家を特措法が解体を認める特定空家に認定。本来なら建物の管理や解体の義務を負う所有権者がはっきりしないため、行政代執行による解体を決定した。費用は約200万円で、区は土地を処分して回収を図る方針だが、最終的に区の負担となる可能性もある。

解体工事は、区の担当者が「法に基づき代執行を進める。安全を確保して作業をしてください」と宣言した後、業者がトラックを横付けして開始。完了までに5日ほどかかる見込みだ。

区内の空き家対策の現状

区によると、区内で解体すべき特定空き家は現在8軒あるが、区の指導や解体工事への助成制度などにより、減少傾向にあるという。今回の行政代執行は、所有権者が不明なケースでも、公共の安全を守るために迅速な対応が可能であることを示す事例となった。

この措置は、老朽化した空き家が地域社会に与えるリスクを軽減し、住民の安心を確保する上で重要な一歩と評価されている。今後も、類似のケースに対して積極的な対策が期待される。