東京の出生数9年ぶり増加、8年続いた減少スパイラルがストップ
東京の出生数9年ぶり増加、減少スパイラルがストップ (20.03.2026)

東京の出生数が9年ぶりに増加、8年間の減少傾向に終止符

東京都内で昨年生まれた子どもの数(外国人を含む速報値)が、前年比1.3%増の8万8518人となり、9年ぶりに増加したことが明らかになった。これにより、8年間続いていた減少スパイラルがついにストップした。都は結婚や子育てへの手厚い支援策の成果を強調しているが、専門家からは「東京一極集中」が続いている結果だとの指摘や、企業による働き方の改善など複合的な要因が作用しているとの見方も出ている。

都の「チルドレンファースト」施策に2兆円超を計上

東京都は豊かな財源を背景に、保育料無償化、無痛分娩の費用助成、18歳以下の都民への月5000円支給、高校授業料の実質無償化など、出産・子育てに対する経済的支援を次々と打ち出してきた。2026年度当初予算案では、こうした「チルドレンファースト」施策に計2兆2082億円を計上している。

世田谷区の地域子育て支援拠点「おでかけひろば ぶれす」では、昨年出産した長女を遊ばせていた会社員の女性(30)が、4月から育児休業から復帰予定だと語った。世帯年収で決まる保育料は月数万円の見込みだったが、都が昨年9月に第1子からの保育料を無償化したことで、保育料を気にすることなく復帰を決められたという。

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「周りでも、保育料がかからないなら2人目を考えようかという声を聞く」と女性は話す。支援拠点を運営するNPO法人せたがや子育てネットの松田妙子代表理事は「都や自治体の財政支援に加え、地域で子育てを手伝ってくれる人や場所がある安心感も大きいと思う」と指摘した。

雇用環境の変化と結婚支援事業も要因に

東北大高齢経済社会研究センター長の吉田浩教授は「これまで低下してきた出生数が反転したことは注目に値する。経済的な安定感がないと、子どもを産もうと思わない」と都の支援策を評価する。一方で、子育て層の経済的安定は雇用環境の変化で共働きしやすくなったことなども要因とみている。

ニッセイ基礎研究所人口動態シニアリサーチャーの天野馨南子さんは「コロナ禍を機に、企業規模にかかわらずリモートワーク導入などが進み、働きやすい環境が整っている東京の企業に、就職で地方から若者が集まる状況が続いている」と分析する。

都が注力しているもう一つの柱は結婚支援事業だ。婚姻と出産が密接に関連しているため、天野さんは、都が「AIマッチングシステム」の提供など出会いの仕組みを充実させてきた点を評価している。こども家庭庁の2024年のオンライン調査では、既婚者の出会いのきっかけの25%はマッチングアプリだった。

「一極集中説」に都がデータで反論

都が2月に出生数増加を公表すると、都の施策効果ではなく「東京一極集中」の結果だとする意見も多く挙がった。これに対し、都はデータを示し「20代は大幅な転入超過で、出産年齢のピークの30代は転出超過が続いている」と説明。周辺3県からの出産予定者の流入で出生数が増えた証拠はなく、進学や就職で東京に来た人たちが定着していると反論した。

都の昨年の婚姻数は8万5137組(前年比4.8%増)で、2年連続増加。昨年の全国の婚姻数の増加分の約7割は都内というデータも示されている。

吉田教授は「都の施策の成果かどうかは、より詳細な検証が必要だ」とくぎを刺す。6月には、外国人を除く出生数の概数が公表される予定で、都で増加すれば10年ぶりとなる。

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