静岡県内の高速道路サービスエリア(SA)で、夜間になると大型トラックが加速車線や路肩に列をなして違法駐車する問題が常態化している。背景には、2024年に適用されたドライバーの労働基準厳格化や物流量の増加がある。中日本高速道路は駐車場増設や予約システムの実証実験を進めるが、対策が追いついていないのが実情だ。
労働基準厳格化がドライバーを苦境に
2024年に改正された「改善基準告示」により、トラック運転手の連続運転時間は原則4時間以内とされ、それを超える場合は30分以上の休憩が義務付けられた。これにより、関西から関東へ向かうドライバーにとって静岡県は運転開始から約4時間の地点に当たり、休憩を強いられる場所となっている。
4月24日午後10時頃、新東名高速の駿河湾沼津SAでは大型トラックやトレーラーで駐車場が満杯になり、普通車用スペースや通路にもトラックが止まっていた。SAから本線に出ると、複数のトラックが加速車線にはみ出して駐車しており、東名御殿場料金所付近でも路肩に数台のトラックが確認された。
大阪から千葉へ向かっていた31歳の運転手は「違反はしたくないが、就労規則上、休まないといけない。仕方ない」と語る。彼は3時間を過ぎた頃から県内のSAを転々とし、空きを探すという。また「午後7~8時にはSAに止められず、加速レーンに駐車することもある。怖いが仕方ない」と打ち明けた。
長時間休憩の増加と駐車場不足
改正基準告示により、1日の拘束時間の上限が引き下げられたことで、SAで長時間休憩を取る運転手が増えている。名古屋から関東へ向かう40歳の運転手は、駿河湾沼津SAを選んだ理由を「東京に近づくと混雑するから」と説明。「店はなくてもいい。トイレと長時間駐車できる場所を整備してほしい」と要望する。
夜間走行し翌朝に荷物を届けるドライバーは、高速料金が割り引かれる午前0時過ぎに料金所を通過するよう計算して運転しているとみられる。しかし、駐車場不足がその計画を狂わせ、違法駐車に追い込んでいる。
中日本高速の対策:予約マス実験
中日本高速道路は2021年から、静岡県内の静岡SA、足柄SA、浜松いなさICでトラック向け駐車場予約システムの実証実験を開始した。3時間前までにインターネット予約すると、専用の「予約マス」を確保でき、最大12時間の休憩が可能だ。
2026年4月には新たに新東名上下線の駿河湾沼津SAと浜松SAでも実験を開始。予約エリアにゲートを設置し、予約車のみが通過できる仕組みで、確実な駐車を保証する。同社担当者は「ドライバーが確実に休憩機会を確保できるよう努めたい」と話す。
しかし、予約マスの数は限られており、根本的な解決には至っていない。労働環境改善という目的が、かえってドライバーを苦しめる皮肉な状況が続いている。



