イランで物価高騰が深刻な状況を呈している。ここ数年は毎年30~40%前後のインフレが続いてきたが、米国・イスラエルとの戦闘が2月末に始まってから状況はさらに悪化。停戦中とはいえ、「戦争でも平和でもない」日々のなかで、人々の不安は増すばかりだ。
消費者物価が前年同月比83%増
イラン統計センターの発表によると、2026年5月の消費者物価指数は前年同月比で83%上昇。特に食料品の値上がりが顕著で、牛肉は1キロあたり約1億2000万リアル(約1万1000円)と、昨年の2倍以上になっている。テヘラン市内の主婦は「肉は買わない。鶏肉も高くて週に一度がやっと」と嘆く。
市場は閑散、客足遠のく
テヘラン北部のタジリシュ市場は、食料品や衣料品、日用品などを扱う400店舗が集まる首都で最も古い市場の一つだが、現在は閑散としている。5月半ばに市場を訪れると、ナッツの店には客の姿はなく、店員は暇をもてあましていた。ピーナツの値段は1キロで2700万リアル(約2500円)。2月には1600万リアルだったという。ナッツをおやつで楽しみ、料理にも入れるイランの食文化を、物価の高騰が直撃している。
携帯電話も高騰、生活全般に打撃
テヘラン中心部の携帯電話店では、スマートフォンの価格が昨年比で2倍以上に。米国による制裁で部品の輸入が難しくなり、さらにリアル安が追い打ちをかけている。店員は「売れ行きは最悪。以前は月に50台売れたが、今は10台にも満たない」と話す。
国民生活を直撃するインフレ
イラン中央銀行の統計によると、2026年5月のインフレ率は前年同月比で83%に達した。これは過去40年で最高水準だ。特に食料品の高騰が家計を圧迫しており、テヘラン市内のスーパーでは、多くの買い物客が値札を見てため息をつく光景が日常化している。
停戦中とはいえ、米国とイスラエルによる攻撃の脅威は続いており、経済制裁も緩和されていない。イラン政府は物価安定のための対策を打ち出しているが、効果は限定的だ。専門家は「戦闘が続く限り、インフレはさらに悪化する可能性がある」と警鐘を鳴らす。



